artscapeレビュー
パフォーマンスに関するレビュー/プレビュー
水都大阪2009コンサート「SOUND QUEST -LOOP-」今西玲子(琴)×Aki Ueda(シタール)×evala(エレクトロニクス)

会期:2009/09/23
文化座劇場(水都大阪2009 中之島水辺会場)[大阪府]
まだ見ていなかった《トらやんの大冒険》大阪市役所、大阪府立中之島図書館などの展示会場をめぐってから文化座劇場 へ。
琴奏者・今西玲子による水都大阪2009コンサート企画。シタール奏者Aki Uedaとエレクトロニクスサウンドアーティストevalaとのセッションライブ。琴とシタール、電子音の演奏の絶妙なハーモニーに会場の外から聞こえてくるアナウンスやさまざまな雑音が入り混じる不思議なライブだった。けれど、それらの複雑な音は意外と心地良く、なによりその新鮮な感覚に、琴の音の奥行きの深さを知った。12日に開催される今西玲子×ニッポンガールズのライブも見たいところ。
2009/09/23(水)(酒井千穂)
神戸ビエンナーレ2009

会期:2009/10/03~2009/11/23
メリケンパーク、神戸港会場、兵庫県立美術館、三宮・元町商店街[兵庫県]
2007年に第1回が開催された神戸ビエンナーレ。その売りは、貨物コンテナを大量に持ち込んで展示会場に流用するという、港町・神戸を意識したプランだった。しかし、引きが取れず照明設備が劣るコンテナでは、インスタレーションや映像ならともかく、絵画や立体をまともに見ることは難しい。そうした設備面での悪条件と、さまざまなレベルの作品が混在した配置もあって、多くの課題を残す結果となった。今秋の第2回では、招待作家を兵庫県立美術館に集中させ、主会場のメリケンパークと連絡船で結ぶ方式を採用。さらに海上でも作品展示を行ない、スケールとグレードの向上を図っている。メリケンパーク会場で昨年同様コンテナが用いられるのは、筆者としては残念。しかし、兵庫県立美術館と海上で質の高い展示が行なわれるなら、前回以上の成果が期待できる。また、街中の三宮・元町商店街と美大生・専門学生による共同企画も予定されており、地元との密着が強く意識されている点にも好感が持てる。主催者の構想が額面通りに機能して、見応えのある催しになることを期待する。
2009/09/20(日)(小吹隆文)
「吾妻橋ダンスクロッシング」

会期:2009/09/11~2009/09/13
アサヒ・アートスクエア[東京都]
コンテンポラリーダンスを紹介するお祭りとしてはじまった(と記憶している)「吾妻橋」は、ここ数回、その縛りから桜井が自由になりジャンルレスなセレクションを決行したことで、パワフルでユニークな舞台表現の一大イベントへ発展した。今回はとくに、「吾妻橋」史上もっともネールバリューの高いアーティストがラインナップされた回となった。盛況の理由はひとつそこにあるだろう。とはいえ、今回の「吾妻橋」がとりわけ盛り上がったのは、いとうせいこう(+康本雅子)と飴屋法水を、チェルフィッチュとLine京急を、contact Gonzoとほうほう堂を、ハイテク・ボクデスと鉄割アルバトロスケットを、快快とChim↑Pomを観客が立て続けに見られたというところにあったろう。そりゃそうなったら比較してしまいます。そして、その比較から見えてくるものがあるわけです。今回ほどタイトルの「クロッシング」の語が際だった回はこれまでなかったろう。観客はそれぞれを見比べながら、案外冷静に、舞台で披露された各組の方法に目を向けたに違いない。そして、この異種格闘技イベントに「ダンス」の名が刻まれている理由を思ったことだろう。ぼくはcontact Gonzoの相変わらずキラキラした暴力と、鉄割アルバトロスケットで役者のひとりがジャンキーみたいに割り箸を指す快楽に耽溺しつつ(?)ギョロ目でポーズを決めたところと、チェルフィッチュの役者たちがしゃべると案外大きなジェスチャーをしてしまうところと(しゃべらないときの役者の休んでいるところも)、Line京急の大谷能生、山縣太一、村松翔子という強力な3人が繰り出すいくつもの瞬間に、とくにダンスを感じました。
2009/09/11(金)(木村覚)
壺中天『遊機体』

会期:2009/09/03~2009/09/06
壺中天[東京都]
向雲太郎が演出と出演を担当する今回の壺中天。ギターの建一郎とライブペインティングの鉄秀をゲストに迎える。この鉄秀が舞台のトーンを支配した。独特の墨のような黒と金と銀の絵の具を用いたパフォーマンスは、壁も床も絵の具まみれにしてゆく。現われては瞬時に消える形状は、たいてい人体をモチーフにしていて、舞台の向の身体と呼応する。フライヤーの言葉「あたらしい、いきもの。」を連想させる向の宇宙人のような身体と軽い動き。よいところはいくつかあった。けれども、ダイナミックともいえるけれど雑にも見えてしまう向と鉄秀2人のバトルは、延々とある一定のペースで進み、とくにバックの音楽との相乗効果で、深夜のクラブで行なわれているような錯覚を感じた。「まったり」感が心地よいともいえるが、舞台という場で行なう表現としては物足りなさも正直あった。
2009/09/03(木)(木村覚)
プレビュー:吾妻橋ダンスクロッシング/大橋可也&ダンサーズ『深淵の明晰』/壺中天『遊機体』

[東京都]
9月のマストは「吾妻橋ダンスクロッシング」(9/11~13@アサヒ・アートスクエア)で間違いないでしょう。飴屋法水、いとうせいこう、Contact Gonzo、チェルフィッチュ、鉄割アルバトロスケット、ハイテク・ボクデス、康本雅子、ライン京急、あとChim↑Pomと快快も参加予定と、東京の身体表現シーンのカタログとしては、最良のラインナップと言って過言ではありません。ただし、残念ながら現在のところチケット入手は困難なようです。さまざまな手段を使ってどうにか潜り込んで見てください、若き未来のアーティストたち!
お祭りイベントはちょっと苦手という方は、大橋可也&ダンサーズ『深淵の明晰』(9/22~26@吉祥寺シアター)を。2006年から始まった『明晰』三部作の集大成、渾身の一撃を堪能しましょう。
もちろん、壺中天『遊機体』(9/3~6@大駱駝艦スタジオ「壺中天」)も要注目。名作『2001年壺中の旅』の作家・向雲太郎による舞台、期待しましょう。
2009/08/31(月)(木村覚)


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