artscapeレビュー

パフォーマンスに関するレビュー/プレビュー

フォースド・エンタテイメント『視覚は死にゆく者がはじめに失うであろう感覚』

会期:2010/02/10~2010/02/12

VACANT[東京都]

タイトルのような定義(これは劇の最後の一言となる)がひたすらつぶやかれ続ける。哲学的だったりもするし、きわめてどうでもいい常識とも言い難い語彙説明だったりもする。男が1人。ときどき水を飲んではつぶやきを再開する。1時間。この男は役者だろうけど役柄はまったく不明で、そもそもなんのために定義が語られているのかわからない。宇宙の使者?なんて憶測もあやふや。それがなんで退屈でないのか、いやむしろはっきりと見応えのある時間だったといえるのかは、答えるのがとても難しい。男が語るのを聞く。この最小限の演劇の状態しか設えられていなくとも、だからこそ感じられるものがある。波紋のように言葉が聞き手に広がり、想像力が刺激される。役者のちょっとした仕草から見る者は沢山のありうる解釈を展開させられる。いや、これはいわゆる「演劇」だけに特化すべき「状態」ではなかろう。ブログ、mixi、twitterのつぶやきと向き合う感覚にとても近い。むしろ、そうしたメディアに演劇的ななにかがあることを認識させる作品だったのかもしれない。

2010/02/11(木・祝)(木村覚)

チェルフィッチュ『わたしたちは無傷な別人であるのか?』/ポストメインストリーム・パフォーミング

[東京都]

2月の注目ナンバー・ワンは、チェルフィッチュの新作『わたしたちは無傷な別人であるのか?』であるのは間違いないとして、いやそれと同じくらい重要なのはポストメインストリーム・パフォーミングのラインナップだろう(辛口にレビューしてしまったけれど、今月とりあげた『リッキーとロニーのバラッド』はこのイベントの第1弾だった)。プロデューサーは、丸岡ひろみと日本パフォーマンス/アート研究所の小沢康夫。とくに見逃してはならないのは、イギリスのフォースド・エンタテインメントらしい。今回、『視覚は死にゆく者がはじめに失うであろう感覚』と『Quizoola!』の二作が上演される予定。後者は、6時間に及ぶクイズ・ショー形式のパフォーマンス。その他、山下残、ホテル・モダン、山川冬樹の上演が待っている。

2010/01/31(日)

パパ・タラフマラのガリバー&スウィフト

会期:2010/01/30

京都芸術劇場春秋座[京都府]

パフォーミング・アーツ・カンパニー、パパ・タラフマラの舞台公演。愉快な仕掛けがいくつも隠されていてたファンタスティックなヤノベケンジ制作の舞台装置に釘付けになり、舞台上を軽やかに跳び跳ね、踊り、走り回る役者たちの軽やかでしなやかな動きがとにかく美しくてただただ感動。ストーリー自体はまったく理解できなかったが。

2010/01/30(土)(酒井千穂)

パパ・タラフマラのガリバー&スウィフト

会期:2010/01/30

京都芸術劇場春秋座[京都府]

パフォーミング・アーツ・カンパニー、パパ・タラフマラの舞台公演。愉快な仕掛けがいくつも隠されていてたファンタスティックなヤノベケンジ制作の舞台装置に釘付けになり、舞台上を軽やかに跳び跳ね、踊り、走り回る役者たちの軽やかでしなやかな動きがとにかく美しくてただただ感動。ストーリー自体はまったく理解できなかったが。

2010/01/30(土)

プレビュー:泉太郎「クジラのはらわた袋に隠れろ、ネズミ」/平田オリザ(青年団)『カガクするココロ』『北限の猿』ほか

日常/場違い」(2009年12月16日~2010年1月23日、神奈川県民ホールギャラリー)で素晴らしい展示を見せている泉太郎。同時に、アサヒ・アートスクエアのスペースを存分に利用した「クジラのはらわた袋に隠れろ、ネズミ」(2010年1月16日~1月31日)という展示も行なわれます。これが一押し。あ、でもこれはインスタレーション(?)であり、ダンスでも演劇でもないです。そっちのお勧めなら、平田オリザ(青年団)の二本立て『カガクするココロ』と『北限の猿』(2009年12月26日~2010年1月26日、こまばアゴラ劇場)。お見逃しなく。来月の注目公演の筆頭が、チェルフィッチュ『わたしたちは無傷な別人であるのか?』(2月14日~2月26日、STスポット/3月1日(月)~3月10日、横浜美術館)であるのは間違いないとして、同じ横浜で2月には『We dance』(2月13日~14日、横浜市開港記念会館)というイベントが開かれます。捩子ぴじん、岸井大輔、手塚夏子、伊藤千枝、白井剛などの公演、ワークショップは要期待です。

2010/01/15(金)(木村覚)