2021年09月15日号
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artscapeレビュー

「吾妻橋ダンスクロッシング」

2009年10月01日号

会期:2009/09/11~2009/09/13

アサヒ・アートスクエア[東京都]

コンテンポラリーダンスを紹介するお祭りとしてはじまった(と記憶している)「吾妻橋」は、ここ数回、その縛りから桜井が自由になりジャンルレスなセレクションを決行したことで、パワフルでユニークな舞台表現の一大イベントへ発展した。今回はとくに、「吾妻橋」史上もっともネールバリューの高いアーティストがラインナップされた回となった。盛況の理由はひとつそこにあるだろう。とはいえ、今回の「吾妻橋」がとりわけ盛り上がったのは、いとうせいこう(+康本雅子)と飴屋法水を、チェルフィッチュとLine京急を、contact Gonzoとほうほう堂を、ハイテク・ボクデスと鉄割アルバトロスケットを、快快とChim↑Pomを観客が立て続けに見られたというところにあったろう。そりゃそうなったら比較してしまいます。そして、その比較から見えてくるものがあるわけです。今回ほどタイトルの「クロッシング」の語が際だった回はこれまでなかったろう。観客はそれぞれを見比べながら、案外冷静に、舞台で披露された各組の方法に目を向けたに違いない。そして、この異種格闘技イベントに「ダンス」の名が刻まれている理由を思ったことだろう。ぼくはcontact Gonzoの相変わらずキラキラした暴力と、鉄割アルバトロスケットで役者のひとりがジャンキーみたいに割り箸を指す快楽に耽溺しつつ(?)ギョロ目でポーズを決めたところと、チェルフィッチュの役者たちがしゃべると案外大きなジェスチャーをしてしまうところと(しゃべらないときの役者の休んでいるところも)、Line京急の大谷能生、山縣太一、村松翔子という強力な3人が繰り出すいくつもの瞬間に、とくにダンスを感じました。

2009/09/11(金)(木村覚)

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