2018年10月15日号
次回11月1日更新予定

artscapeレビュー

終わりなき創造の旅 ─絵画の名品より─

2016年07月01日号

会期:2016/03/19~2016/06/05

アサヒビール大山崎山荘美術館[京都府]

開館20周年を記念して、芸術家たちの制作にまつわる「旅」をテーマに選ばれた館蔵品、約80点近くによる展覧会。印象派、エコール・ド・パリ、ピカソ等20世紀巨匠たちの絵画の名品と、バーナード・リーチや濱田庄司ら民藝運動の作家たちの工芸品との両方が同時に楽しめる。絵画作品の見どころは、安藤忠雄設計の「地中の宝石箱(地中館)」に展示されたモネの《睡蓮》と、「夢の箱(山手館)」に展示されたゴッホの《農婦》および「青の時代」のピカソによる《肘をつく女》。さらに本展で民藝に関わって貴重なのは、柳宗悦と朝鮮古陶磁の研究を行った浅川伯教が朝鮮・日本で収集した民藝品が見られること。柳・浅川兄弟の審美眼によって選ばれた李朝陶磁器・唐津・瀬戸・備前焼などは、同運動を支援したアサヒビール初代社長、山本爲三郎との交流を通じてもたらされた。それが英国風の山荘建築の中に残されていることが素晴らしい。というのも、展示品と建築と選りすぐられた室内装飾が渾然一体となって、展覧会を作り上げているからだ。同館の展示では、東西の芸術文化と芸術のジャンルの垣根がなく調和的に同居し、民藝の思想を具現化しているとしみじみと感じ入る。庭園の池にはまた、モネの作品を想起させる睡蓮が咲き、展覧会に花を添えていた。[竹内有子]

2016/06/05(日)(SYNK)

artscapeレビュー /relation/e_00034562.json l 10124697

2016年07月01日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ