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artscapeレビュー

ポール・スミス展 HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH

2016年07月01日号

会期:2016/06/04~2016/07/18

京都国立近代美術館[京都府]

英国のファッションデザイナー、ポール・スミス(1946~)。彼が率いるブランド、ポール・スミスは1970年にロンドン、ノッティンガムの裏通りに構えた小さな店にはじまり今や世界約70ヶ国で展開している。本展は、その軌跡を振り返り、ポール・スミスの創造性や世界観に迫る展覧会。2013年にロンドンのデザインミュージアム開催された「HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」展が、ベルギー、スコットランドを経て日本に上陸したもので、国内では京都国立近代美術館の後、上野の森美術館、松坂屋美術館を巡回する予定である。かつて1998年から1999年にかけて国内3カ所を巡ったポール・スミスの展覧会、「トゥルーブリット」展もまた、1995年にデザインミュージアムで開催された「Paul Smith True Brit」展の巡回展であった。ポール・スミスの自宅や仕事場から会場に持ち込まれた、彼にインスピレーションを与える写真、絵画、イラスト、玩具、小物や雑貨類をはじめ、最初のショップやアトリエの実物大再現、カラフルなストライプにペイントされたローバー社の《ミニ》(日本で初公開となるニュー・ストライプ版)など、いくつかの展示内容は本展にも再登場している。
ファッション・ブランド、ポール・スミスは日本国内でも変わらぬ人気を維持している。ポール・スミスが日本に進出した1984年、日本のファッション界はいわゆるDCブームに沸いていた。以来、当時は脚光を浴びたブランドが次々と失墜していくなかで、ポール・スミスはクラシックでありながら古びることなく、どこかひねりの利いた、洒落感漂うブランドとして第一線を走ってきた。本展では、その秘訣がデザイナーの感性にあることをあらためて認識させられた。感性と言ってしまえばあまりにも当然のことのようだが、彼の場合は常に自身のインスピレーションを刺激するものを探し、収集し、反応し続け、しかも楽しみながら好奇心を失うことなくその行為を継続しているようにみえる。いつまでも若々しい感性とそれを表現するのに相応しいスタイル、 その両方を備えているのである。もともと自転車競技の選手志望だったポール・スミスは、服飾やデザインの教育を受けないままファッションの世界に飛び込み、最初のコレクションのデザインは後に妻となるポーリーンが手掛け、その後も服づくりについてはポーリーンが支えてきたという。夫婦両輪で走る、その体制が軽快で柔軟な姿勢の基盤となっているようにに思われる。
展覧会は全展示撮影可。インスタグラムやツイッター用の撮影コーナーまで設けられているというオープンマインドぶりもポール・スミスらしい。[平光睦子]

2016/06/12(日)(SYNK)

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