2018年04月15日号
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artscapeレビュー

大原治雄 写真展 ~ブラジルの光、家族の風景~

2016年08月01日号

会期:2016/06/18~2016/07/18

伊丹市立美術館[兵庫県]

ブラジルで高く評価されている写真家、大原治雄(1909~1999)。彼は17歳の時(1927)に神戸港からブラジルに移住し、南部パラナ州ロンドリーナでコーヒー農園を経営しながら、アマチュアカメラマンとして活動した。作品の多くは家族や親戚、農作業、身近な風景を撮ったもので、気取りのなさ、素朴さ、率直さが大きな特徴だ。第三者に見せることをあまり意識していなかったのではないか。またそれらは、20世紀前半の日系移民の生活や、開拓地の様子がわかる一級の民俗資料ともいえる。大原は1950年代になると、身の回りの道具をモチーフにした抽象的な作品も手掛けるようになった。しかし、そうした作品はほかの写真家も手掛けており、彼だけの表現とは言えない。やはりこの人は家族や身近な風景を撮った作品が素晴らしい。その意味で本展は、アマチュアリズムの長所が凝縮した展覧会と言えるだろう。

2016/07/17(日)(小吹隆文)

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