2017年09月15日号
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artscapeレビュー

開館35周年記念Ⅱ テオ・ヤンセン展

2017年09月01日号

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会期:2017/07/15~2017/09/18

三重県立美術館[三重県]

白い骨組みを持った生き物のようなオブジェが、海岸線を自立歩行している。随分前にテレビCMで見た印象的な一場面だ。本展のチラシを見た瞬間に当時の記憶が鮮明によみがえり、「これはなんとしても見たい」と思った。テオ・ヤンセンは1948年生まれのオランダ人アーティスト。彼はコンピューター上での仮想生物の研究を経て、1990年以降、プラスチック・チューブの骨格と独自の関節を持つ人工生命体「ストランド・ビースト」を制作し続けている。初期の作品は人間が押し引きして動かしていたが、作品に帆がつくようになってからは風力で動くようになった。その異形は、昆虫、深海生物、あるいはエイリアンのようであり、それらが風をはらんで動く姿は、一度見たら忘れられない。本展では10数点のビースト(作品)が展示されたほか、使い古したパーツ(作家は「化石」と命名)、模型、メモ、作品の系統樹、映像なども紹介され、この類まれなるシリーズの全容が明らかにされた。また、一部の作品は展示室内でデモンストレーションが行なわれ、観客が押して動かせる作品も2点あった。会期が夏休み中ということもあり、美術館内は親子連れで大賑わい。作品を食い入るように見つめる子供たちの視線が眩しく、こちらまで嬉しくなってくる。こんなに興奮し、前向きな気持ちにさせてくれる展覧会は久々だ。

2017/08/06(日)(小吹隆文)

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