2017年09月15日号
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artscapeレビュー

安永正臣展-Art Needs Genuine Criticism-

2017年09月01日号

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会期:2017/07/29~2017/08/20

ギャラリー器館[京都府]

やきものは土を成形して窯で焼くものだが、安永は土を使わずにやきものをつくっている。彼が使用するのは釉薬だ。釉薬はやきものの表面を覆うガラス質の部分で、普通は液状の釉薬を素焼した器の表面にかけ流して使用する。ところが安永は、粘度を高めた釉薬で器をつくり、砂やシャモット(耐火粘土を焼いて粉末にしたもの)の中に埋めて焼いているのだ。結果、出来上がった作品は、ガラス状の光沢を帯びたもの、火山岩や石を思わせるもの、出土品のような風化を感じさせるものなど、千差万別の表情を見せる。安永の作品は、窯内でのちょっとした条件の違いで大きく表情が変化し、作家本人ですらコントロールが難しい。それだけに人智を超えた風合いが生まれることもあり、その一期一会的なあり方も作品の魅力となっている。道具とオブジェの両面を兼ね備えた陶芸作品は数多いが、彼の仕事は飛び切りユニークな部類に入るだろう。

2017/07/29(土)(小吹隆文)

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