artscapeレビュー

contact Gonzo × 空間現代

2018年04月15日号

会期:2018/03/30~2018/03/31

[京都府]

空間現代コラボーレションズ2018の第3弾。空間現代の本拠地であるスタジオ兼ライブハウス「外」の中央には台座が置かれ、その上にベニヤで覆われた直方体が鎮座していた。天面からは木の枝やオレンジ色に塗られた木片、あるいは何かのコードが飛び出している。オブジェを囲むビニールカーテンの外には空間現代、内にはcontact Gonzo。「演奏」が始まる。

ゴンゾの面々はハンマーや木片でオブジェを殴打する。打撃音がスピーカーからも聞こえてくる。天面から出ているコードはどうやらマイクにつながっているらしい。オブジェの周囲のベニヤが破壊され、その正体がコンクリートconcrèteの塊だということが露わになる。

Photo by Yamazaki Kenta

今回のコラボレーションはゴンゾ&空間現代版ミュジック・コンクレートmusique concrèteだ。ミュジック・コンクレートは楽音のみならず自然界の音や人の声など、あらゆる音を電子的に録音・加工・構成することでつくられる。破壊音もまた音楽の一部となる。

合間にいつもの取っ組み合いを挟みつつ破壊は続く。電動ドリルまでもが登場し、コンクリート片が飛散する。コンクリート塊からはテニスボールや木片、ビニール袋、人の頭部をかたどったオブジェなどが「発掘」される。文字通りのファウンド・オブジェ。だがそれはもちろんあらかじめ埋め込まれたモノたちだ。無機質な直方体だったコンクリート塊は、いつしか彫刻のように削られている。

Photo by Katayama Tatsuki

Photo by Yamazaki Kenta

「解体=創造=(再)発見」の等式は空間現代の音楽に由来する。彼らの楽曲はいくつかのフレーズを解体、編集しながら反復することで構成されている。それを聞く観客は、反復される無数のバリエーションを通してオリジナルのフレーズを見出すのだ。繰り出される演奏の一撃一撃が、ハンマーのように空間現代の音楽を削り出す。

二日にわたる解体=創造のレコードたる「ミュージック・コンクリート」はその後、当日の演奏を複数のスピーカーで再構成した音とともに「3.30-31 Aftermath」として「外」に展示された。

Photo by Katayama Tatsuki

contact Gonzo:http://contactgonzo.blogspot.jp/
空間現代:http://kukangendai.com/
「外」:http://soto-kyoto.jp/

2018/03/30(山﨑健太)

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