2018年12月01日号
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artscapeレビュー

2011年06月01日号のレビュー/プレビュー

画家たちの二十歳の原点

会期:2011/04/16~2011/06/12

平塚市美術館[神奈川県]

日本近現代の画家たちが二十歳前後に描いた絵画を集めた展覧会。黒田清輝をはじめ青木繁、草間彌生、石田徹也など54人が油彩画を中心に発表した。誰もが若かりし日の日記を読み返すことを躊躇するように、二十歳の感性とはおおむね「無知と恥」と同義である。しかし日記とちがって、どうやら絵画の場合はそうでもないらしいことに、本展を見てはじめて気づかされた。村山槐多の《尿する裸僧》は、手をあせて拝みながら立ちションする裸僧を描いているが、おどろおどろしい色彩も相俟って、パンク的な暴力性を先取りしているように見えるし、会田誠や山口晃は青春期の反骨精神を、かたちを変えながらも、それぞれ今も持続させていることがよくわかる。とりわけ注目したのは、森村泰昌。鮮やかな青色を中心に構成された平面作品は、色彩とかたちによって対象を分解しながら再構成した立派な抽象画で、現在の著名人や芸術家に扮するポートレイトの作品とは似ても似つかない。これをあえて見せてくるところに、「青い時代」をためらうことなく振り返ることのできる芸術家の強さがある。もしかしたら、この強靭な精神こそ、芸術家の条件なのかもしれない。

2011/04/20(水)(福住廉)

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岡本光博 BATTAMON forever

会期:2011/04/17~2011/05/01

GALLERY CN[神奈川県]

昨年、神戸ファッション美術館で催された「ファッション奇譚」展に出品された岡本光博による《バッタもん》。某ブランドからのクレームにより会期中に会場から撤去させられたが、その後大阪での「BATTAMON returns」(2010年11月6日~2010年11月27日、CAS)を経て、このほど藤沢のギャラリーに巡回し、東日本でのお披露目となった。贋物を意味する「バッタもん」と昆虫のバッタを掛け合わせたセンスが光っているのはもちろん、バッタの表面にはブランドバッグのラグジュアリー感が醸し出され、ロゴをそのまま目玉に援用するなど小技も効いている。セレクトショップのような空間の質も、《バッタもん》の逆説的なアウラを巧みに照らし出していたようだ。

2011/04/20(水)(福住廉)

コレクション展 1960-2000年代のファッション サンローランからガリアーノ、マックイーンまで

会期:2011/04/21~2011/06/28

神戸ファッション美術館[兵庫県]

1960年代から2000年代の代表的なファッションを、約30人のデザイナーによる約50点の作品で展観した。作品はレプリカではなく、すべて実物である。今までの同館の展示は服飾史をたどるように構成されていたが、現代の、それもつい10年ほど前の服をこれだけ大量に所蔵しているとは知らなかった。昨年10月に大規模なファッション写真のコレクション展を行なった時も思ったのだが、神戸ファッション美術館はまだまだポテンシャルを出し切っていない。日本中探してもここだけにしかないお宝を沢山持っているのだから、今後は出し惜しみせず、どんどん活用してほしい。

2011/04/21(木)(小吹隆文)

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中原浩大 展「paintings」

会期:2011/04/23~2011/05/28

ギャラリーノマル[大阪府]

2009年より制作を続けてきた、DVDの盤面にドローイングを描いたエディション作品1,000点と、デンマークの玩具「HAMAビーズ」10万ピースを用いた平面作品などを出品。HAMAビーズの作品は同じ色が隣り合わないように配色されたもので、オートマティズムの一種と言える。この作品を見て、2006年に彼が発表したツバメの群れを記録した作品の意味が少しだけわかった気がした。作品の意図に気付くまで5年もかかるとは情けない話だ。同時に、中原浩大の底知れなさを改めて思い知った。

2011/04/25(月)(小吹隆文)

カンディンスキーと青騎士

会期:2011/04/26~2011/06/26

兵庫県立美術館[兵庫県]

青騎士やドイツ表現主義について、僅かばかりの知識は持っていたが、実物を見る機会はあまりなかった。今回、それらを大量に、かつコンディションの良い状態で見られたのは収穫だった。あの色彩感覚は、当時の人にはさぞ強烈な体験だっただろう。また、カンディンスキーの前半期の作風の変遷も見応えがあった。カンディンスキーとミュンターの関係や、2人を引き裂いた20世紀前半の歴史というドラマチックな話題にも事欠かないので、そんな大河ドラマ的側面を強調すれば、普段は滅多に美術館に来ない人々も呼び込めるのではないだろうか。

2011/04/26(火)(小吹隆文)

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