artscapeレビュー

2012年10月15日号のレビュー/プレビュー

ボディーズ・イン・アーバン・スペーシズ・イン・ヨコハマ

会期:2012/09/29~2012/09/30

関内[神奈川県]

午後4時半、神奈川芸術劇場のアトリウムに集合。事前情報はそれだけ。時間をすぎると旗を持ったスタッフの先導で外へ。見ると、劇場の外壁の出っ張った軒にカラフルな服を着た数人のパフォーマーがよこたわっている。これはおかしい。観客が中華街のほうへ移動し始めると、いまのパフォーマーたちが走って抜いていく。つねに先回りして準備しとかなければならないのだ。駐車メーターに絡んだり、ビルとビルの隙間に上下に並んだり、階段にびっしりとはいつくばったり、中華街から元町をすぎ、港の見える丘公園まで10カ所以上でやっただろうか。パフォーマンスそのものはなんの意味もなくバカバカしくて笑えるが、それ以上におかしいのは、旗を持った先導者に付き従ってパフォーマンスの写真を撮る100人近い観客たちと、行儀正しく交通整理するスタッフたちだ。本来こうしたストリート・パフォーマンスは予告も許可もなくゲリラ的に行なわれるものだが、それを「芸術」としてありがたく「鑑賞」する光景もメタ・パフォーマンスとして成立するんじゃないか。

2012/09/29(金)(村田真)

『ニッポンの、みせものやさん』試写

会期:2012/09/28

TCC試写室(2012年12月から新宿K's cinemaにて上映)[東京都]

江戸後期には300軒、昭和なかばにも48軒残っていた見世物小屋もいまや1軒を残すのみとなった。その1軒、大寅興行社を奥谷洋一郎監督が10年にわたり追いかけたドキュメンタリー。情報社会の発達とともに身体性が希薄になり、不気味さやうさん臭さの消えていくこの世の中では(別の不気味さやうさん臭さは生まれるが)、たしかに見世物小屋の生き残る余地は少ない。でも逆に、だからこそヘビを食ったり火を吐いたりする人間のナマの身体性を再確認する必要があるだろう。似たようなことは美術にもいえるはずだ。高齢化が進み絶滅寸前となった悲哀感漂う見世物小屋の芸人たちと、まるで緊迫感のない監督のユルい語りが残酷なまでに時代のギャップを浮き彫りにする。

映画『ニッポンの、みせものやさん』特報

2012/09月28日(金)(村田真)

沈崇道個展「毛沢東肖像画」

会期:2012/09/08~2012/09/29

東京画廊+BTAP[東京都]

沈は60年代から上海美術設計公司で中国共産党幹部の肖像画制作にたずさわり、なかでも最高機密の国家主席・毛沢東の公式肖像画を手がけた数少ない画家のひとりだという。しかし改革開放が進むにつれ肖像画の需要が減り、上海美術設計公司も退社。同展は沈が退社後に描いた毛沢東の肖像画10点を展示するもの。もはや公的な肖像画ではないのだから自由に描いてもいいはずなのに、どれもキチンと描いているのは長年のあいだに身に染みついてしまった習性ゆえか、それとも彼自身の律儀な性格ゆえか。おかしさと哀しみを誘う展覧会。

2012/09月28日(金)(村田真)

プレビュー:宮永愛子「なかそら──空中空」

会期:2012/10/13~2012/12/14

国立国際美術館[大阪府]

ナフタリンの「靴」や、陶器の焼成時に起こる〈貫入〉という現象を取り入れた作品など、時間とともに変化していく作品を発表してきた宮永愛子(1974- )の個展。今展は、時とともに移ろいゆく姿を表わし出すこのような作品から、昨年発表したキンモクセイの葉脈を用いて作り出した巨大な布状の作品《景色のはじまり》、そして新作までを、宮永自身が生み出した「なかそら」という言葉を介しながら展観する。ギャラリートークが開催される11月3日(土・祝)も含めて、会期中は無料観覧日が5回ある。1度だけでなく何度か足を運んで実際に作品の変化をあじわいたい。

2012/10/15(月)(酒井千穂)

artscapeレビュー /relation/e_00019025.json s 10056425

プレビュー:龍野アートプロジェクト2012──刻(とき)の記憶

会期:2012/11/16~2012/11/25

うすくち龍野醤油資料館・周辺の醤油蔵など[兵庫県]

芸術とまちの魅力を国内外に発信することによって地域の活性化と国際交流をはかろうと昨年行なわれた「龍野アートプロジェクト」の2回目。古い醤油蔵や伝統的建造物を再生・活用した現代美術の展覧会で、今回は、具体美術協会(具体)にも関わり、現在はフランスを拠点に活動を続ける松谷武判の渡欧前の平面作品をまとめて公開するほか、マドリードを拠点として活躍し、作家活動30周年を迎える山口敏郎、1982年生まれの今村遼佑による展示が行なわれる。ワークショップやアーティストトーク、作品ガイドツアーなどの関連イベントも多いので、あわせて楽しみたい。スケジュールなどはこちら

2012/10/15(月)(酒井千穂)

2012年10月15日号の
artscapeレビュー