artscapeレビュー

2014年01月15日号のレビュー/プレビュー

ルーヴル美術館 イスラム美術展示室

[フランス・パリ]

ルーヴル美術館に訪れるのは、十数年ぶりだろうか。マリオ・ベッリーニとルディ・リッチオッティが設計し、新しい空間が生まれたイスラムの展示エリアを見るために足を運んだ。中庭に挿入されたやわらかな皮膜としての屋根である。ルーヴルは、イスラムやアフリカなど、絵画以外の展示デザインが素晴らしく、ほとんどインスタレーションのレベルになっていることに感心した。

2013/12/26(木)(五十嵐太郎)

シテ・ドゥ・ラ・モード・エ・デュ・デザイン

[フランス・パリ]

セーヌ川沿いの倉庫を改造したシテ・ド・ラ・モード・エ・デザインへ。古くなったコンクリートの躯体に、デジタルデザイン風による、緑がかったぐにゃぐにゃの寄生構築物を付加していた。PIXARに関する展覧会のせいか、子どもたちを中心とした長い行列で入るのをあきらめたが、外回りを見るかぎり、写真で想像したような刺激的な空間体験はなかった。

2013/12/26(木)(五十嵐太郎)

ケ・ブランリ美術館

[フランス・パリ]

ケブランリを再訪した。これは基本的にジャン・ヌーヴェルの集大成のような建築である。変化が大きい南面は、傾きを変えられるルーバーと、ガラスのドットの組み合わせで光をコントロールし、安定した北面は、風景をプリントしたガラスと突起した箱型展示空間だ。光と色の独特のセンスが光る。大量のドットを反復するアボリジニの絵画を見ると、草間彌生を思い出す。

2013/12/26(木)(五十嵐太郎)

1925 QUAND L’ART DECO S’EDUIT LE MODE(1925年、アールデコが世界を魅了した時)

会期:2013/10/16~2014/02/17

国立建築遺産博物館[フランス・パリ]

建築博物館のアール・デコの企画展を見る。各ジャンルから見るアール・デコへの芽生え、1925年の万博、そして日本や中国も含む、各国への伝播とビルディングタイプ別に影響を検証したもの。アール・デコの摩天楼で知られるアメリカのニューヨークの扱いは、わずかなのが興味深い。

2013/12/26(木)(五十嵐太郎)

高橋耕平「HARADA-san」

会期:2013/12/06~2013/12/27

ギャラリー・パルク[京都府]

一見、客観的な資料性の高い年表のようなものにも制作意図はもちろんあって、掲載される項目の取捨選択は必須。純粋な中立な視点に立ったドキュメンタリーなど存在しないわけで。本展でも高橋の取材のもと、「原田さん」という人物が生まれてからいままでの年表と映像が制作されているが、どうも編集意図が見当たらない、とても読みづらいものになっていた。訊くと「事実だけど演劇のようなもの」として見せるための意図的な未編集なのだという。しかしそこにも制作意図は入ってしまう。情報のなかにまぎれて記される「原田はその意見には反対であったらしい」といった高橋のイタズラ心を垣間みたときに作品の奥深さを知る。それにしても映像の冒頭のシーンのフレーミングは美しかった。

2013/12/27(金)(松永大地)

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