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天命反転の建築──追悼荒川修作

[2010年06月15日号(河本英夫)]

 「私は、死なないことに決めた」と言い続けた荒川修作さんが亡くなった。断片的な連絡では、急激な病変だったようである。5月19 日未明に入った泣き声まじりの本間さんからの留守電には、せめてもの救いは、「荒川さんが長く苦しまなくてすんだことだ」...

ドーハ・イスラム美術館

[2010年06月01日号(太田佳代子)]

 中東の国カタールで、心に残る建築に出会った。建築家I・M・ペイが設計した新しい国家的シンボル、《イスラム美術館》である。所蔵品も建築も世界最高峰のものでなくてはならなかったこの美術館、少なくとも建築に関しては望み通りの出来と言えるだろう。

街とアートと人がともに成長していく美術館──Arts Towadaグランドオープン・レビュー

[2010年05月15日号(白坂由里)]

 桜の開花が例年より1週間ほど遅れていた。4月23日、雨模様の青森。東北新幹線八戸駅からバスで約40分、空き店舗が散見される十和田市中心市街地の商店街を抜け、官庁街通りへ。国の出向機関の統廃合などで空地化した官庁街通りの景観の保全と街の活性...

バーゼルの伝統──エルンスト・バイエラー(1921-2010)、ヒルディ・バイエラー(1922-2008)に捧ぐ

[2010年05月01日号(木村浩之)]

 エルンスト・バイエラーが死んだ。  彼の芸術観を、他のスイスの個人コレクションとの比較などを通じながら考察する。

去勢された20世紀的身体への訣別──「森村泰昌展・なにものかへのレクイエム──戦場の頂上の芸術」レビュー

[2010年04月15日号(土屋誠一)]

 2006年から開始されたシリーズ「なにものかへのレクイエム」の完結である。この個展は、ポストモダンの時代における、シミュラークルの戯れという脱社会的立場を棄て、成熟した歴史主義者として社会的コミットメントへと向かう、といったような、森村の...

芸術区の行方、そしてアートと場所の関係

[2010年04月01日号(多田麻美)]

 北京でこの冬、もっともアート関係者の関心を集めたニュースといえば、北京を訪れた人の誰もがその広大さに目を見張る「芸術区」の行方だろう。再開発の代価として、その多くが取り壊しの危機に瀕しており、すでに廃墟と化したものもある。さまざまな矛盾を...

2010年代の予兆──「絵画の庭──ゼロ世代日本の地平から」展レビュー

[2010年03月15日号(林 洋子)]

 これほど大規模な、日本人による「絵画」だけに絞った、美術館でのグループ展を近年、見た記憶がない。28作家による、具象傾向を中心とした絵画約200点、しかもほぼすべてが2000年紀以降の近・新作である。しいて言えば、東京国際フォーラムのよう...

第4回 21世紀ミュージアム・サミット「100人で語る美術館の未来」レビュー

[2010年03月15日号(菅野幸子)]

 2月27日(土)から28日(日)の2日間にわたり、湘南国際村センターを会場に第4回21世紀ミュージアム・サミットが開催された。今回の開催にあたっての主催者側の意図は「人々が本当に求めている美術館体験は何か」という問いから企画されたものだが...

市場に新しい旋風を送る冬季アート・フェアとアカデミックな美術の伝統を引き継ぐAICAUSA AWARD(全米美術評論家連盟アワード)

[2010年03月01日号(梁瀬薫)]

 全米で最も大規模なアート・バーゼル・マイアミ。まるで郊外にあるアウトレット・モールさながらの規模で、開催初日の数時間で目ぼしい作品が完売し、あたかも「ブランド品のサンプルセールだ」というニュースが伝えられた、バブル絶頂期の2年前のフェア。...

医学と芸術:生命と愛の未来を探る──ダ・ヴィンチ、応挙、デミアン・ハースト(森美術館)

[2010年02月15日号(柳澤田実)]

 今日、自然や生命、さらにはより局所的に脳という臓器への関心が高まるなかで、哲学や芸術など近世以降自然科学と分岐し自律的に展開していった領域が、改めて自然科学、とりわけ経験科学とプロダクティヴな関係を取り結ぶことを課題としている。本展覧会も...

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