artscapeレビュー
ウラサキミキオ展
2012年05月01日号
会期:2012/04/02~2012/04/07
Gallery K[東京都]
ウラサキミキオは視点と対象のあいだにレイヤーを重ねた絵画を制作している。これまでの作品のレイヤーはある程度定型化されていたが、今回の個展で発表された作品はひとつずつレイヤーのかたちが異なっており、その重ね方もさまざまで、展示の根底にはこれまで丹念に練り上げてきた型を一気に解き放つかのような潔さが見受けられた。美術家にとって表現を作品に落とし込む型は必要不可欠だが、それを熟成させすぎると自己模倣というスパイラルに陥りかねない。型をあえて破壊することによって新たな表現を獲得しようとするアーティストこそ、信用に足るのではないか。
2012/04/08(金)(福住廉)