artscapeレビュー
小野サボコ HIKARI WO TATAKU
2012年05月01日号
会期:2012/04/09~2012/04/14
Gallery K[東京都]
小野サボコはこれまで薄いアルミニウムの表面に図像を刻印した平面作品を制作してきたが、今回発表されたのは具象的な方向から一転、アルミニウムの広い表面に細かい打点を打ちこんだ作品。光を反射しながらゆるやかに湾曲する表面に穿たれた無数の窪みは、特定の図像を結ぶわけではなく、ただ繊細な打撃の連続を物語っている。それが、例えば鉄の塊と向き合う多和圭三のような力強い肉体運動を彷彿させないのは、ひとえにアルミニウムという極薄の素材によるのだろう。多和が重厚な鉄のなかから柔らかな表面を掘り出しているとすれば、小野はアルミニウムの軽いとはいえ脆いわけではなく、かといって堅牢なわけでもない特質をていねいに引き出したと言えるのかもしれない。
2012/04/12(木)(福住廉)