artscapeレビュー
Vik MUNIZ/ヴィック・ムニーズ
2017年10月15日号
会期:2017/09/14~2017/09/28
日動画廊本店[東京都]
日動画廊本店にはもう何十年も入ってないが、入ってないのにいうのもなんだが、銀座の一等地に何十年も画廊を構えていられるのはともあれスゴイことだ。今回はnca(ニチドウ・コンテンポラリー・アート)と同時開催の現代美術展なので久々に入ってみた。ヴィック・ムニーズは粉や液体などで絵を描いたり、ゴミを寄せ集めて人物画を再現した写真作品で知られるが、今回は雑誌や画集を細かくちぎって貼りつけ、印象派の絵画を再現したコラージュを写真に撮ったもの。わかりにくいけど、最終的にプリントを作品としている。例えば、遠くからながめるとゴッホの《星月夜》だが、近づくと人の顔やら文字やらが現われるといった仕組み。果物を寄せ集めて人物画に仕立てるアルチンボルドのようなトロンプルイユともいえる。常連らしい中年男性は何度スタッフから説明を受けても理解できない様子。ふだんの日動画廊の作品とはずいぶん違うからね。ゴッホのほか、モネ、ルノワール、セザンヌ、ドガ、藤田嗣治などの絵画をネタにしている。特に藤田の《妻と私》は笠間日動美術館の所蔵作品を元にしたもので、3点売れていた(プリントなので複数ある)。モネの太鼓橋を描いた睡蓮の絵も2点売約済み。どれも日本にある絵を元にしているという。
2017/09/20(水)(村田真)