artscapeレビュー

トム・サックス ティーセレモニー

2019年06月01日号

会期:2019/04/20~2019/06/23

東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]

アメリカを巡回したトム・サックスの日本巡回展。「ティーセレモニー」は「茶道」のことで、ニューヨークのイサムノグチ美術館のために制作されたもの。トムは2012年から本格的に茶道を学んでいるそうだ。だから作者自身も日本への巡回を切望していたという。ちなみに、10年ほど前にアメリカで盛んに行なわれた保守派による「ティーパーティー」運動への批判もあるのかと思ったが、それはないみたい。

出品は大小合わせて50点近くで、平面も立体も人工的でチープな素材を使って茶の湯の世界を再構築している。エアバッグの生地の掛軸に赤地に黄色で「M」と書いた《McDonald's》、10段ほどの棚に100個ほどの茶碗が整然と並ぶ《Large Chawan Cabinet》、合板や樹脂、既製品などを組み合わせた《Tea House》、それに隣接する《Mizuya》など。等間隔に小さな穴の空いた合板を立てただけの《Tadao Ando Wall》には笑った。マジメなのかふざけているのか、おそらくマジメにふざけているのだろう。こういう脱力系のユーモアはいかにもイギリス的だが、トムはニューヨーカー。でも経歴を見るとロンドンの建築学校で学んだことがあるそうだ。納得。

2019/05/21(火)(村田真)

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