artscapeレビュー

カタログ&ブックス | 2020年7月1日号[テーマ:庭園]

2020年07月01日号

テーマに沿って、アートやデザインにまつわる書籍の購買冊数ランキングをartscape編集部が紹介します。今回のテーマは、クレマチスの丘 ヴァンジ彫刻庭園美術館(静岡県)で2020年8月31日(月)まで開催中の展覧会「センス・オブ・ワンダー もうひとつの庭へ」にちなみ「庭園」。このキーワード関連する、書籍の購買冊数ランキングトップ10をお楽しみください。
ハイブリッド型総合書店honto調べ。書籍の詳細情報はhontoサイトより転載。
※本ランキングで紹介した書籍は在庫切れの場合がございますのでご了承ください。

「庭園」関連書籍 購買冊数トップ10

1位:ハプスブルク家「美の遺産」

特別編集:家庭画報
発行:世界文化社
発売日:2019年9月28日
定価:1,900円(税抜)
サイズ:26cm、127ページ

神聖ローマ皇帝として、オーストリア皇帝として、645年間君臨したウィーンの名門一家ハプスブルク家。絵画、工芸、建築、庭園、食卓など、宮廷が育んだ美の来歴を、ハプスブルグ家の人々の物語とともに辿る。


2位:鉛筆画マスターBook 質感を描き分ける! すべては鉛筆から始まる

著者:トゥルーディー・フレンド
翻訳:森屋利夫
発行:マール社
発売日:2019年11月22日
定価:1,800円(税抜)
サイズ:25cm、128ページ

英国の有名アーティストである著者が、初心者はもちろん、さらに腕を磨きたい中級者にも向けて、鉛筆画の極意を分かりやすく解説。取り上げるテーマは「樹木と森林」「庭園と草花」「建物」などの風景から、「静物」「人物」「鳥と動物」まで誰もが描きたい人気のものばかり。知っているようで意外と知らなかった「基本的な線の引き方」、使いこなしたら立体感が増す「陰のつけ方」などををベースに、順を追って丁寧に説明。動物のふわふわした毛、堅いレンガ、やわらかい布……描き分けたかった質感も自由自在。そして、学んだテクニックを繰り返し練習し、仕上げていくだけで描画スキルがどんどん向上し、自信が持てるようになります! 何より鉛筆画はすべての絵の基本。鉛筆画が描けるようになれば色鉛筆も水彩も思いのまま。さあ、鉛筆画を描いてみましょう。


3位:日本美術の歴史

著者:辻惟雄
発行:東京大学出版会
発売日:2005年12月
定価:2,800円(税抜)
サイズ:21cm、449+31ページ

「かざり」「あそび」「アニミズム」をキーワードとして、絵画、彫刻、工芸、考古、建築、庭園、書、写真、デザインなどの多分野にまたがる日本美術の流れを、縄文から現代までたどる。



4位:おでかけ美術館&博物館 関西版(LMAGA MOOK おとなのエルマガジン)

編集:京阪神エルマガジン社
発行:京阪神エルマガジン社
発売日:2018年5月31日
定価:880円(税抜)
サイズ:29cm、111ページ

ミュージアムの庭園やカフェで寛いだり、建築やインテリア、常設展示にお気に入りを探したり。関西の美術館&博物館を、周辺のショップやカフェ、レストランとともに紹介します。データ:2018年5月現在。



5位:半分、生きた

著者:豊田利晃
発行:HeHe
発売日:2019年9月25日
定価:1,800円(税抜)
サイズ:19cm、129ページ

1998年に映画『ポルノスター』で監督デビューを果たして以来、『青い春』『空中庭園』『ナイン・ソウルズ』『モンスターズクラブ』『I’M FLASH !』、そして『泣き虫しょったんの奇跡』など、数多くの映画を生み出し、映画界はもちろんのこと、多くの俳優にも影響を与えてきた豊田利晃。(中略)2019年、50歳を迎え、これまでの半生を振り返った本書は、映画作品の製作についてのみならず、その時間の中で出会い、別れ、深く関わってきた人々との物語が、赤裸々に真っ直ぐな言葉で綴られた、未来に向けた声明文ともいうべき内容となりました。



6位:大人の塗り絵 すぐ塗れる、美しいオリジナル原画付き 花咲く美しい庭園編

著者:青木美和
発行:河出書房新社
発売日:2016年4月19日
定価:980円(税抜)
サイズ:27cm

蓼科高原バラクライングリッシュガーデン、軽井沢レイクガーデン、あしかがフラワーパークなど、日本各地の四季折々の庭園風景を集めた塗り絵。書き込み式。



7位:文化遺産と〈復元学〉 遺跡・建築・庭園復元の理論と実践

編集:海野聡
発行:吉川弘文館
発売日:2019年11月25日
定価:4,800円(税抜)
サイズ:22cm、332ページ

失われた歴史遺産を再生する復元。何のため、いつの時点へ、どう戻すのか? 古代から現代における国内外の遺跡や建物、庭園、美術品の復元を検討し、復元の目的や実情、課題に迫る。



8位:日本の芸術史 造形篇1 信仰、自然との関わりの中で(芸術教養シリーズ)

編集:栗本徳子
発行:京都造形芸術大学東北芸術工科大学出版局藝術学舎
発売日:2013年10月2日
定価:2,500円(税抜)
サイズ:21cm、221ページ

縄文時代から鎌倉時代までの造形を中心に、仏教美術、建築、庭園などを取り上げ、基本的な知識や時代について概説し、具体的な作例を通して造形的な特徴を解説。その後の展開にもふれる。



9位:岡上淑子フォトコラージュ沈黙の奇蹟

著者:岡上淑子
監修・執筆:神保京子
発行:青幻舎
発売日:2019年2月1日
定価:3,000円(税抜)
サイズ:30cm、219ページ

国内外で再評価の高まる岡上淑子の代表的なフォトコラージュ約100点をほぼ原寸で収録した作品集。岡上淑子、瀧口修造のエッセイ、神保京子の論考、作品リストも掲載。2019年東京都庭園美術館開催の展覧会公式カタログ。



10位:遠近法がわかれば絵画がわかる(光文社新書)

著者:布施英利
発行:光文社
発売日:2016年3月17日
定価:880円(税抜)
サイズ:18cm、201ページ

物体、色彩、陰影、線…。さまざまな重なりが織りなす「遠近法」を、私たちは目と脳でどう読み解いているのか。名画、建築、庭園、現代アートをとりあげ、その謎に迫る。また、遠近法が確立されるまでの美術史もひもとく。



10位:アジアン・インパクト 日本近代美術の「東洋憧憬」

監修:樋田豊次郎
編集:東京都庭園美術館
発行:東京美術
発売日:2019年10月17日
定価:2,400円(税抜)
サイズ:26cm、151ページ

1910〜60年代の日本近代美術にみられる、アジアの古典を強く意識した傾向を、日本画、洋画、そして工芸の各ジャンルの事例により検証。東京都庭園美術館で開催される展覧会の公式図録兼書籍。





artscape編集部のランキング解説

「庭」や「庭園」と聞いて、どんなものを思い浮かべるでしょうか。映画やドラマに登場する庭でのワンシーンや、茂った植物、土の香り、丹念に手入れされた日本庭園や西洋庭園の美しい風景など、さまざまなイメージが喚起されると思います。今回「庭園」というキーワードの元となった「センス・オブ・ワンダー もうひとつの庭へ」という展覧会のタイトルは、レイチェル・カーソンの遺作『センス・オブ・ワンダー』から取られたものですが、この本のなかでは、カーソンが姪の息子である幼い男の子とともに別荘の周りの森や海岸を探検する様子が、そこで出会う自然の姿とともに生き生きと描かれています。
今回のランキングに目を移すと、ランクインしている本の多様性にまず驚きますが、そのなかでも「庭園」というものが歴史的・文化的な遺産として、建築や工芸、絵画、彫刻などと並ぶ大きな柱のひとつであることが窺えるタイトルが、複数目に付きます(1位、3位、7位、8位ほか)。美術品のように鑑賞する対象でありつつ、実際に足を踏み入れられる空間でもあり、人の手だけではその景観は完成しないという独特の時間感覚を持ち合わせる庭園というメディアは、国・地域を問わずその時代ごとの資産家や権力者によって計画・整備され、富や権力の象徴とされてきました。
その一方で、絵を描く(あるいは塗る)人にとって、描く対象としての「庭園」への関心の高さもランキングから垣間見えます(2位、6位)。そのつながりで、絵画空間がいかに遠近法を意識してつくられているかが解説されている『遠近法がわかれば絵画がわかる』(10位[1])のなかでは、造園における遠近法についても言及が。庭園を魅力的に描くヒントが見つかるかもしれません。
その空間の中に身を置き、感覚をひらく場所としての「庭園」。ウイルスの影響を受ける場面も引き続き多い昨今ですが、営業を再開する美術館もずいぶん増えてきました。展示や本の力を借りて、心身ともに解き放つことのできる、のびのびとした心の庭が持てるといいですね。


ハイブリッド型総合書店honto(hontoサイトの本の通販ストア・電子書籍ストアと、丸善、ジュンク堂書店、文教堂)でジャンル「芸術・アート」キーワード「庭園」の書籍の全性別・全年齢における購買冊数のランキングを抽出。〈集計期間:2019年6月16日~2020年6月16日〉

2020/07/01(水)(artscape編集部)

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