2022年09月15日号
次回10月3日更新予定

artscapeレビュー

景聴園ラジオ 第1回『何故絵を描いているのか?』

2022年07月01日号

会期:2022/06/05〜

ポッドキャスト

チャンチャチャチャーンチャチャ……穏やかなギターの音で始まる「景聴園ラジオ」は「日本画」の勉強会と鑑賞の手引きを行なうポッドキャストだ。

「景聴園」は2012年に発足した日本画のグループ。メンバーは、作家である上坂秀明、合田徹郎、服部しほり、松平莉奈、三橋卓、企画の乃村拓郎、そしてアーカイブとテキストの古田理子。1980年代から90年代生まれの彼らは、京都市立芸術大学での結成当時から、合作を行なうタイプのグループではなく、グループ展を幾度となく開催してきた。かなり雑な言い方で恐縮だが、私から見た「景聴園」は、具象日本画の再考を軸としたグループだ。彼らの企画展に行くと、「日本画」が「物語」を描くとしたら、何を扱うべきか、どう描くべきかが5人ともまったく違うということにいつも驚かされる。でも、私は「日本画」に詳しくないので、そこで思考も眼も立ち止まってしまっていた。そんなときにこのポッドキャスト、渡りに船である。

第1回の冒頭では、「横山大観についての話をしよう」と前振りが来て身構えていたが、初回ということで、まずは「なぜ絵を描いているのか?」という問いからスタートした。「好きだから」という言葉を景聴園はいくつも切り分けていく。どの瞬間によろこびを感じるのか、絵を通して自分の認識が他者にとってどうなのかがわかるよろこび、生きていく手立てとしての絵、絵を描くときの「手癖」をよろこびと捉えるか否か。そこに研究はどう関連するか。

松平が途中で指摘した通り、景聴園の話はすべてが日本画についてのものなのだが、彼らが立ち返るときのエピソードは人間が人間として生きている限りにおいて、誰もが「何か」を「日本画」に代入することが可能という、不思議な体験であった。同時代としての日本画に向き合う彼らだからこそのなせる技だ、と唸ったり笑ったりのポッドキャスト。景聴園の結成10周年特別企画は耳も眼も離せない。


景聴園ラジオ(Anchor):https://anchor.fm/keichoen/

2022/06/05(日)(きりとりめでる)

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