artscapeレビュー
尻博2023
2023年09月01日号
会期:2023/07/20~2023/07/31
文房堂ギャラリー[東京都]
会場の文房堂ビルに着くと、エレベーター前には人だかりができている。え、まさかこれみんな尻博? そう、みんな尻に吸い込まれていくのだ。さほど広くない会場には50人以上は入っているだろうか。男性が大半だが、女性もいる。と思ったら尻を出しているではないか! あ、尻出し男もいる。作品だけでなく、本物のお尻も鑑賞できるんだから、入場料千円でもこんなに人が集まるんだ。
てわけで、コロナ禍の2020年に始まった「尻博」も、4回目を迎える今回は秋葉原から神保町に場所を移しての開催となった。出品は写真、絵画、彫刻、イラスト、映像、花器とさまざま。お尻のドアップ写真が多いなか、三島哲也と吉岡雅哉の絵画は貴重だ。三嶋は古典技法を駆使して官能的な尻を写実描写し、吉岡雅哉は軽快なタッチの尻画というか、もはや猥画としかいいようのない絵を出している。いいのか? 映像は、お尻に風鈴つけたり尻の上でかき氷つくったり、季節感あふれる作品もある。また、尻博と上野木型製作所の共同企画として、3Dスキャン技術と5軸マシニングセンターのNC切削(なんだそれ?)により、男女の尻を彫刻した等身大リアル《OTOKOJIRI》《ONNAJIRI》なんてのもあって楽しめる。
それにしても、なぜわれわれは尻に敷かれるのか? じゃなかった、尻に惹かれるのか? なぜ「乳博」でも「股博」でも「ヘソ博」でもなく、「尻博」なのか? なぜ男だけでなく、女も異性の尻に惹かれるのか? 心情的には理解できるけど、いまだ言語化できずにいる。
公式サイト:http://www.bumpodo.co.jp/gallery/exhibition.html
2023/07/29(土)(村田真)