artscapeレビュー
ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開
2009年08月01日号
会期:2009/05/23~2009/07/20
原美術館[東京都]
美術評論家・松井みどりによるマイクロポップの第二弾。会場を水戸芸術館から原美術館に移し、参加作家も何人かを入れ換えた。海外への巡回を想定しているせいか、全体的に平面作品が多く、空間を作りこむインスタレーションはほとんど見受けられなかった。その平面作品もタブローではなくドローイングが中心で、それらの大半は内向的な世界を大切に維持する傾向にあり、まるでその場だけ時間が止まっているかのように錯覚したほどだ。外向的な暴走によってよどんだ現状を鮮やかに突破しているChim↑Pomですら、この時間を欠いた「温室」のなかでは空回りしているように見えた。この無時間性をもってして次の時代を牽引するという矛盾に満ちたラディカリズムを徹底するのであれば、まだわかる。だが、そのようなアイロニカルな未来像を描けないほど、同展の展示はただ延々と自転を繰り返すばかりで、ついにその「温室」への入り方がわからないまま、会場をあとにした。
2009/07/07(火)(福住廉)
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