artscapeレビュー
足立智美による「新国誠一」パフォーマンス
2009年08月01日号
会期:2009/06/22
武蔵野美術大学12号館1階ビデオアトリエ[東京都]
パフォーマー/作曲家の足立智美によるパフォーマンス公演。同大学で催されていた「新国誠一の《具体詩》」展の関連企画として催された。新国の視覚詩と音声詩をそのまま忠実に再現するのではなく、それらをベースにしながらも、積極的に読み替え、エレクトロニクスを多用しながら、詩と音楽のあいだを切り開こうとした。そのため、新国の音読といえば、囁くようなウィスパーヴォイスと、耽美的かつエロティックな声質が特徴的だが、足立は声の抑揚からスピードの高低、ヴォリュームの大小まで大胆にメリハリを利かせ、新国の詩の攻撃的・暴力的な一面を引き出そうとしていたようだ。新国の代表作「雨」(1966)では、雨の中の点点をいちいち一つずつ音読して、「え、あれを全部読むつもり?」と観客を一時的に不安にさせたが、中盤になっておもむろにシャツを脱ぎ捨て、白いTシャツの正面にプリントされた「雨」の文字を指差しながら「あめ」と口にして、観客を唸らせた。
2009/06/22(月)(福住廉)