artscapeレビュー
風能奈々展「誰がその物語を知る」「草上の想像」
2009年08月01日号
会期:2009/06/19~2009/07/25
小山登美夫ギャラリー京都、TKGエディションズ京都[京都府]
今年3月の「VOCA」展に出品した大作など16点からなる「誰がその物語を知る」と、20センチ角の小品108点の「草上の想像」。これだけの量の作品をわずか半年間で、しかも質を落とすことなく描き切ったことに恐れ入る。作品の世界は多分に彼女の内面(記憶や夢想)を反映したものだが、それだけに完成度が少しでも下がれば陳腐な独り遊びに堕してしまう。一貫してテンションを保ち続けたその精神力こそ、まずは称賛されるべきであろう。聞いたところによると、それこそ昼夜分かたず描き続けたので彼女自身も夢か現か判然とせぬ夢遊病的状態になったそうだが、そこまで自分を追い込んだことが作品のリアリティーにつながっているのかもしれない。
2009/06/24(水)(小吹隆文)