artscapeレビュー

ラム・カツィール展─抹茶ノ中ノ嵐─

2009年08月01日号

会期:2009/07/10~2009/07/26

京都芸術センター[京都府]

展示室の床には8枚の畳が敷かれ、傍らにドウダンツツジが生けられている。壁面にはスクリーンがあり、映像が投影されている。映像は茶席の風景から始まる(展示室のインスタレーションは茶室の写し)。静けさ漂うその世界を切り裂くように庭園を新幹線が横切ると、画面は一転して高速の車窓風景へ。田園地帯を走りぬけた新幹線は大都会東京に到着する。見慣れた高層ビル群も、外国人の目を通して映像化されるとどこか仮想空間のようだ。映像は徐々に速度と音量を増し、混雑した通勤電車の車窓風景が幾つもコラージュされた状態でピークを迎え、再び冒頭の茶席へとループする。カツィールは、日本人に流れる二つの時間(伝統とモダン)をテーマにしたようだ。それ自体は外国人から見た現代日本の典型で新味は感じられなかったが、音と光と速度が高密度化していくクライマックスはそれなりに見応えがあった。

2009/07/12(日)(小吹隆文)

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