artscapeレビュー
野村仁 変化する相─時・場・身体
2009年08月01日号
会期:2009/05/27~2009/07/27
国立新美術館[東京都]
野村仁の大規模な回顧展。数多くの作品を整然と並べた展示そのものが野村の作品ではないかと思えるほど、作品の内容と展覧会の形式がシンクロした展観で、たいへんな見応えがあった。ひとつひとつの作品を丁寧に見ていくと、物体に加わる重力や日常の記録に注がれていた野村の視線が、次第に天体の規則性や宇宙の謎に向けられていく様子がはっきりと伝わり、そのスリリングな展開がたまらない。野村の系譜に位置づけられる若いアーティストたちは少なくないが、彼らの今後の活動をまっとうに評価するためにも、まずは野村の活動の行き先をしっかりと見届けることが必要だ。今後の動向をもっとも注目すべきアーティストである。
2009/07/11(土)(福住廉)
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