artscapeレビュー
岡林真由子 展「玻璃の町」
2009年08月01日号
会期:2009/06/30~2009/07/05
立体ギャラリー射手座[京都府]
人気のない町並みを描いた岡林の絵画作品。彼女は目にとまった幾つかの風景を切り取り、1枚のキャンバス上に貼り合わせた「どこでもない町」を描いている。この方法だと物語や象徴をいくらでも取り込めるが、そちらに転ばないのが岡林の良いところ。どこか不自然な状態で停止した世界が、永遠の刹那を保ったままキャンバスに定着されている。ちなみにタイトルの「玻璃の町」とは、萩原朔太郎の小説『猫町』に登場する幻覚の町のことだ。
2009/06/30(火)(小吹隆文)