artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
wah「すみだ川のおもしろい」展
会期:2009/06/20~2009/07/20
すみだリバーサイドホール・ギャラリー/アサヒビール本部ビル1階ロビー[東京都]
アーティスト集団wah(ワウ)が隅田川界隈を歩き、「こんなことがあればおもしろい」というアイディアを募って、実現できるものは実現していくプロジェクト。船上に風呂を設けて湯に浸りながら川下りを楽しむ「湯舟」、隅田川で捕った小魚やエビを材料につくる「すみだ川丼」、水着姿の男たちが川べりで準備体操をして川に飛び込む(ポーズだけ)など、どれも笑ってしまいそうなアイディアばかり実現させた。驚いたのは、これらはかつて隅田川がきれいだったころ、当たり前のように行なわれていたことだ。それがいまではお笑いネタになってしまうという皮肉。いやー隅田川は深い。
2009/06/30(火)(村田真)
ル・コルビュジエと国立西洋美術館
会期:2009/06/04~2009/08/30
国立西洋美術館[東京都]
開館50年を記念する小企画展。本館設計者ル・コルビュジエのスケッチや図面、写真、マケットなどで本館建築の秘密と西美の歴史をたどる。興味深いのは、コルビュジエはこの美術館が手狭になったら、四角い展示室の外側に一周二周と展示室を設けていって、どんどん拡大していく「無限成長美術館」というコンセプトをもっていたこと。これは敷地の問題で実現できなかったが、できていたら画期的な美術館になっていたと思う。コレクションの増加にともなうスペース不足は、どの美術館にとっても宿命的な課題なのだから。
2009/06/26(金)(村田真)
ネオテニー・ジャパン
会期:2009/05/20~2009/07/15
上野の森美術館[東京都]
精神科医の高橋龍太郎氏のコレクション。奈良、村上をはじめ、会田誠、山口晃、加藤美佳、名和晃平……と、だいたいどこかで見たことあるような、ということは、ここ10年あまりの現代美術をダイジェストしたような作品が並ぶ。その意味では新しい発見はないけど、どの作品はどの画廊で買ったかとか、いくらで買って現在はいくらするとか、邪推の楽しみはある。ともあれ、日本の現代美術はこういう奇特な方に支えられているのだ。
2009/06/26(金)(村田真)
奇想の王国──だまし絵展
会期:2009/06/13~2009/08/16
Bunkamuraザ・ミュージアム[東京都]
このテの展覧会、昔、伊勢丹あたりのデパート系美術館で10年に一度くらいやってたなあ。いまじゃデパート系はBunkamuraしかないもんなあ。同展はアルチンボルドからヘイスブレヒツ、ホーホストラーテン、歌川国芳、河鍋暁斎、マグリット、エッシャー、福田美蘭、本城直季まで古今東西のだまし絵を集めたもの。絵画の邪道ともいえるが、抽象も含めてあらゆる絵画はだまし絵ともいえるし、退屈な王道よりよっぽどおもしろい場合だってある。アルチンボルドの《ウェルトゥムヌス(ルドルフ2世)》と、リサ・ミルロイの《皿》が飛び抜けてすばらしかった。
2009/06/23(火)(村田真)
川崎昌平 個展「グランドオープン」
会期:2009/06/17~2009/06/25
創造空間9001[神奈川県]
勝手に他人を撮って勝手なコメントを貼りつけたデビュー作(たしか卒制で見た)をはじめ、映像や写真(インクジェット出力)の展示。どれもお手軽につくってるようでちゃんとアートになってるところは、さすが芸大というべきか。とりわけ、ジャラジャラ出てくるパチンコ玉を携帯の動画撮影機能を利用して撮った映像が美しい。
2009/06/19(金)(村田真)