artscapeレビュー

村田真のレビュー/プレビュー

ルーヴル美術館

[パリ]

ハッと目が覚めたらルーヴル美術館だった……らいいのだが、んなわけもなく、忙しいなかやりくりして昨晩パリに到着したのだ。某出版社の仕事で、パリにあるモロー、ドラクロワ、ルーベンスの作品を見倒すのが目的(とはいえ自費)。モンマルトルの安宿を出て、まずルーヴルの地下街に直行し、パリの主要な美術館がフリーパスになる「ミュージアムパス」を購入。その説明書の日本語の解説を読むと、「ご入館なされればなされるほど、ご節約することができるのです。ですから早急にご購入なされ、最も素晴らしい世界遺産のひとつをご発見して下さい!」とある。まあ意味は通じるけどね。ルーヴルでは真っ先にドラクロワの巨大作品が並ぶロマン主義の部屋へ。隣の部屋(《モナ・リザ》の裏側)ではなんと、ヤン・ペイミンによる「モナリザへのオマージュ」みたいな絵がデカデカと飾ってあるではないか。クラシックな美術館に現代美術を投げ込む試みはしばしば見かけるので驚かないが、それが中国人画家であることに驚いた。しかしそのモノクローム絵画は「薄い」という印象で、あまり成功しているとは思えない。カフェでサラダ食って、北欧絵画の展示室をひとまわりし、ルーベンスの大連作《マリー・ド・メディシスの生涯》にあらためて感嘆。
ルーヴル美術館:http://www.louvre.fr/

2009/04/09(木)(村田真)

オルセー美術館

[パリ]

木曜はオルセーの夜間開館日なので最後に訪れる。ここではドラクロワとモローを見る。ドラクロワは小品ばかりだが、小品のほうが色彩や筆触などの特徴がよくわかる。モローは初期の大作《イアソンとメディア》があった。そうか、「イアソン」は英語で「ジェイソン」なんだと初めて気づく。
オルセー美術館:http://www.musee-orsay.fr/

2009/04/09(木)(村田真)

サン・シュルピス教会

[パリ]

ドラクロワといえばやはりサン・シュルピス教会にも寄らねば。ここは『ダ・ヴィンチ・コード』のおかげですっかり人気スポットになってしまったが、めざすは入ってすぐ右側のドラクロワによる壁画。といっても壁に直接描いたフレスコ画ではなく、キャンヴァスに油彩で描いて貼ったものだ。なんか名誉のために描かせていただきましたって感じで、作品的にはどうってことない。
サン・シュルピス教会:http://www.paroisse-saint-sulpice-paris.org/

2009/04/09(木)(村田真)

ドラクロワ美術館

[パリ]

セーヌ川を渡ってサンジェルマンへ。ここはドラクロワの自宅とアトリエを改装した美術館で、見るべき作品はほとんどないけど、こんな環境でロマン主義絵画が生み出されていたんだということがよくわかる。中庭はパリのど真ん中のオアシスって感じ。
ドラクロワ美術館:http://www.musee-delacroix.fr/

2009/04/09(木)(村田真)

カールステン・ニコライ「ポリ ステラ」

会期:2009/04/04

霞が関ビル[東京都]

日本初の超高層ビル、霞が関ビルのふもとに出現したパブリックアート。こういう不特定多数の人々が行き交う場所に彫刻を設置するとき、芸術性よりなにより安全性と耐久性が求められる。そのため形態的にも内容的にも角のとれた丸い作品が多くなりがち。その点、カールステン・ニコライの彫刻はカミソリのように尖っていて、不穏な輝きを宿している。このくらい刺激的でないと、わざわざ彫刻を置く価値がないだろう。

2009/04/04(土)(村田真)