artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
岸田劉生──肖像画をこえて
会期:2009/04/25~2009/07/05
損保ジャパン東郷青児美術館[東京都]
没後80年というが、なにか唐突感が否めないのは損保ジャパンの単館開催だからだろう。これが東京近美とか平塚市美だったらまだ納得もいくのだが、なんでほかの画家の名を冠した損保会社の美術館で劉生をやらなきゃいけないんだ? でも展示は自画像をはじめ肖像画に絞って、東博の重文《麗子像》が出てないのは残念だが、デューラーの影響の明らかな《麗子肖像(麗子五歳之像)》、妖怪みたいな《野童女》などが出ていて、なかなか見ごたえがあった。しかしこうして見ると、意外にヘタだったのね。もう少しうまいと思ってたのに。
2009/06/02(火)(村田真)
矢萩喜從郎 展「Magnetic Vision/新作100点」
会期:2009/05/08~2009/05/30
ギンザ・グラフィック・ギャラリー[東京都]
1階と地下1階の2フロアに計100枚の作品が並ぶ。それらは日常的な風景写真だったり、雑誌などから引用したイメージだったりするが、中央に円形の窓がうがたれ、そのなかに四角い画面より広範なイメージが凝縮されている。つまり、虫メガネとは逆に小さく見えるレンズでのぞいた感じだ。部分に全体が宿るというホリスティックな理論を思い出すが、それより矩形の画面と円のプロポーションが日の丸に似ているのが気になる。
2009/05/30(土)(村田真)
戸泉恵徳 展
会期:2009/05/18~2009/05/30
銀座芸術研究所[東京都]
田んぼに巨大な軍艦が入港し、ミサイルを発射している図。かたわらにはマックの包装紙が。これを小松崎茂ばりのリアリズムで描くからたまらない。作者がバイトで看板描きをやってると聞いて納得。
2009/05/30(土)(村田真)
廣江友和「Uneasy place」
会期:2009/05/15~2009/06/13
メグミオギタギャラリー[東京都]
ぬいぐるみやフィギュアの写真をコラージュしているのかと思ったら、すべて手描き。白い地塗りにヤスリをかけ、その上からていねいに描いている。このギャラリーはいつも珠玉のような作品をつくるアーティストを発掘してくるから目が離せない。
2009/05/30(土)(村田真)
PHASE展
会期:2009/05/13~2009/05/31
ニューメルサ2階・クリエイターズスペース[東京都]
吉川信雄、柴田美千里、笠木絵津子ら6人のグループ展。だが、動物彫刻あり、写真コラージュあり、メディアアートありで、まったくまとまりのないグループだ。いちばん不可解なのは、なぜこんな商業ビルの片隅の半端なスペースでやらなきゃいけないのかということ。それなりにキャリアのある作家たちなのだから、もうちょっとまともな場所でやれよと思ってしまう。
2009/05/30(土)(村田真)