artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
国立トレチャコフ美術館展──忘れえぬロシア
会期:2009/04/04~2009/06/07
Bunkamuraザ・ミュージアム[東京都]
なんだ、まだワイエス展をやっていたのか。と、ボケをかましたくなるような外光派リアリズム絵画が並ぶ。革命以前の19世紀後半から20世紀初頭のロシア絵画を集めたもの。このリアリズム技法が、革命期のロシア・アヴァンギャルドを飛び越してその後の社会主義リアリズムに隔世遺伝したとすれば、ある意味納得がいく。
2009/04/03(金)(村田真)
万華鏡の視覚
会期:2009/04/04~2009/07/05
森美術館[東京都]
まず、これが新作展ではなく、コレクション展であることに驚かされる。しかも自分とこのではなく、よそんちのコレクションなのだ。たとえば、ブロック塀が爆発して破片が飛び散っているようなロス・カルピンテロスのインスタレーション。数百の破片が糸で吊るされているのだが、コレクションが巡回するごとにその場に行って吊るし直すのだろうか。最近日本でも人気のジム・ランビーによる床にテープを貼った作品も謎だ。床のサイズやかたちによって貼り方を変えるこの作品、いったいどうやってコレクションしてるの? つーか、このテープをコレクションしてるわけじゃないでしょうに。こんなコレクター泣かせの作品ばかり集めてるのがティッセン・ボルネミッサ現代美術財団で、その創設者はフランチェスカ・フォン・ハプスブルグ。もう名前からして大コレクター、大パトロンなのだ。
2009/04/03(金)(村田真)
アートフェア東京
会期:2009/04/03~2009/04/05
東京国際フォーラム・展示ホール+東京ビルTOKIA・ガレリア[東京都]
茶室があったり古美術が目立つのは気のせいか。きっと現代美術系のギャラリーが隣のTOKIAビルにはみ出した分、展示ホールの古美術度が高まったのかもしれない。そのせいかどうか、なんか熱気が感じられないなあ。
アートフェア東京:http://www.artfairtokyo.com/
2009/04/02(木)(村田真)
栗原亜也子個展「フィクション/エラー」
会期:2009/03/27~2009/04/17
ギャラリーマキ[東京都]
昔、オリンパスペンSっていうハーフサイズのカメラがあった。1コマを縦に2分して2倍の量が撮れるという、いかにも日本人らしい発想のカメラだ。そのオリンパスペンで撮った1コマ2点の画像なのだが、巻き上げが足りなくてダブってしまったエラー写真や、隣り合う画像がたまたま連続したりした偶然写真を拡大して見せている。そんなもんで作品になるのかとも思うが、肩ひじ張らずにつくってるところがうらやましくもある。
2009/04/02(木)(村田真)
第12回岡本太郎現代芸術賞展
会期:2009/02/07~2009/04/05
川崎市岡本太郎美術館[神奈川県]
今回はタムラサトル(特別賞)や井口雄介ら光りものも多かったが、坂口竜太や田中麻記子らまっとうな絵も多かった。岡本太郎賞は、巨大お札のインスタレーションと、剃りあげた後頭部に絵を描かせる捨て身のパフォーマンスの合わせ技を見せた若木くるみ、24歳。一見学芸会の余興っぽいが、後頭部を伝わって描かれた彼女自身のドローイングを見ると、なかなか達者な腕前であることがわかる。会期中ずーっと作品のなかにいるらしく、どうやらタダモノではなさそうだ。
2009/03/29(日)(村田真)