artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
平町公「大谷の図」
会期:2009/03/15~2009/03/30
上野の森美術館ギャラリー[東京都]
巨大な布地に今回は、大谷石の採石場跡をパノラミックに描き出している。そのチャレンジ精神と描写パワーは衰えていないようだが、なんとなくリアリズムの傾向が強まった気がする(幻想性が弱まったともいえる)。モチーフとなった大谷がもともと非現実的な光景だからかもしれないが。
2009/03/14(土)(村田真)
VOCA展2009
会期:2009/03/15~2009/03/30
上野の森美術館[東京都]
VOCA賞の三瀬夏之介をはじめ、各賞受賞者はまあ順当なセンだろう。とくに「明るく華やかな色と、滑らかで力強い筆の躍り」(選者の名古屋覚)の今津景と、「『いま、ここで描く』という原初的な描写の欲望に忠実な」(選者の福住廉)淺井裕介が強く印象に残る。受賞者以外では、家庭を平面図のような視角で描く麻生知子、絵具こってり系の池谷保と佐藤修康、「こうきたか」と思わずうなった小金沢健人と名和晃平あたりに注目。
2009/03/14(土)(村田真)
UNLIMITED
会期:2009/03/01~2009/03/15
アプリュス[東京都]
たぶん初めて降りる南千住駅から歩いて10分、アプリュス(A+)は都内では稀に見る広大なアーティスト・イニシアティヴのビューイングルーム。そこに、淺井裕介、泉太郎、遠藤一郎、村田峰紀、柳原絵夢ら注目の若手11人が競演・共演・狂宴している。実際、作品同士が侵食し、重なり、食い合い、どこからがだれの作品なのかわからなくなってる部分もある。お行儀のいい国立新美術館の「アーティスト・ファイル」より、よっぽどヴィヴィッドだ。ヴィヴィッとくる。ヴィヴィッとね。しつこいか。
2009/03/14(土)(村田真)
no name
会期:2009/03/12~2009/03/16
ZAIM別館4階[神奈川県]
東西の美大の出身者や在校生ら9人による展示。「no name」とは「無名展」みたいなニュアンスか。さまざまなイメージを寄せ集めた厚地朋子の絵画、ガラス板の上にシルクスクリーンでインクを盛った芳木麻里絵のレリーフ版画がいい。とくに芳木はモチーフに中国絵画や額縁やレース編みを選ぶなどセンス抜群。これは買いだ。
2009/03/13(金)(村田真)
ma+chi「手のひらが横濱」
会期:2009/03/04~2009/03/15
創造空間9001[神奈川県]
「YOKOHAMA創造界隈コンペ2008」のうち、東横線桜木町駅跡の9001の空間を生かした「空間創造部門」の受賞展。受賞者は3人のアーティストからなるma+chiというユニットだが、会場に入るとガランとしていて「なにかやってるの?」って感じ。プランの段階では「人と人、人と街、人と歴史をつなぐ」コンセプトといい、横浜に根ざしたアイディアといい、ほのぼのとしてわかりやすいプレゼンといい、文句なく受賞が決まったのだが、いざフタを開けてみたらちょっとプランと違うぞ。展示は日々変わっていくらしいが、すでに5日目なのに、床に畳を敷き、可動壁に映像を映し出してるくらいで、殺風景きわまりない。別にプランを変えたわけでも怠惰なわけでもなく、経験不足が原因らしいが、これでは選んだほうの責任も問われかねない。あ、ぼくもそのひとりです。
2009/03/08(日)(村田真)