artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

第9回恵比寿映像祭「マルチプルな未来」

会期:2017/02/10~2017/02/26

東京都写真美術館、日仏会館、ザ・ガーデンルーム、恵比寿ガーデンプレイスセンター広場、地域連携各所ほか[東京都]

恵比寿映像祭へ。印象に残ったのは、まず「マルチプルな未来」の主題どおり、ズビグ・リプチンスキーの短編である。ある部屋を出入りする人の映像が何度もループしながら、登場人物がどんどん増え、ついには36人に到達する。1981年の作品だから、アナログな複写と合成技術だけど、いま見てもインパクトのあるアイデアだった。もうひとつが去年のヴェネツィア・ビエンナーレ建築展2016にも出品したフォレンジック・アーキテクチャーである。まさに「前線からの報告」といった内容で、ネットなどを活用し、数多く収集した紛争地の爆弾映像を空間的に解析し、最後はその形状をオブジェ化する。このリサーチは修士設計でもできそうな手法だが、本当にこのプレゼンテーションで学生が見せたら、おそらく驚愕するだろう。

2017/02/22(水)(五十嵐太郎)

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ヒスロム活動紹介展示、アートノード・ミーティング02

会期:2017/02/19

せんだいメディアテーク[宮城県]

せんだいメディアテークへ。7階では、身体系のアーティストと言うべきヒスロムの活動を紹介する小展示を開催していた。2018年に本格的な展示を行なう予定である。またKOSUGE1-16と甲斐賢治のトークでは、現地のリサーチをベースとした制作の手法、そして子どもの遊びを創出する、彼らの海外活動から仙台のアートノードで昨年末に発表した「アッペトッペ」までの軌跡を振り返る。

2017/02/19(日)(五十嵐太郎)

西澤徹夫レクチャー

会期:2017/02/19

東北大学[宮城県]

東北大にて、国立近代美術館などで継続的に手がけている展示デザインについて西澤徹夫がレクチャーを行なう。「建築が生まれるとき」から始まって、クレー展、「ヴィデオを待ちながら」、「映画をめぐる美術」など、展示デザインの仕事やアーカイブ論などを語る。休日にもかかわらず、学外から多くの聴講者が集まった。展示デザインは建築雑誌に掲載されないし、美術雑誌でもあまりフォーカスされないので、ようやく本人からまとめて話を聞くことができた。彼が関わることになった京都市美術館のリノベーションや八戸市新美術館のプロジェクトも楽しみである。

2017/02/19(日)(五十嵐太郎)

堀部安嗣展 建築の居場所

会期:2017/01/20~2017/03/19

TOTOギャラリー・間[東京都]

実見したことがあるのは《竹林寺納骨堂》のみだが、その佇まいを模型で伝えるのは難しい。特に《阿佐ヶ谷の書庫》は、本好きにとって見てみたい空間だ。一方、上階では、堀部のドラムから始まる映像作品『建築の鼓動』がかなりそれを遂行していた。もっとも、竹林寺は自分も見ていたので、何が再現できないかもわかるけれど。

2017/02/17(金)(五十嵐太郎)

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アスリート展

会期:2017/02/17~2017/06/04

21_21 DESIGN SIGHT[東京都]

前回の「食べ物」を「見世物」にする企画展はリサーチ量も半端なく、とてもうまくいっていたと思うが、今回のもともと十分に「見世物」として大人気のスポーツを、あえて展覧会でもう一度「見世物」にするのはなかなかハードルが高いなと感じた。それぞれに工夫された展示ではあったが。

2017/02/17(金)(五十嵐太郎)

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