artscapeレビュー
第9回恵比寿映像祭「マルチプルな未来」
2017年03月15日号
会期:2017/02/10~2017/02/26
東京都写真美術館、日仏会館、ザ・ガーデンルーム、恵比寿ガーデンプレイスセンター広場、地域連携各所ほか[東京都]
恵比寿映像祭へ。印象に残ったのは、まず「マルチプルな未来」の主題どおり、ズビグ・リプチンスキーの短編である。ある部屋を出入りする人の映像が何度もループしながら、登場人物がどんどん増え、ついには36人に到達する。1981年の作品だから、アナログな複写と合成技術だけど、いま見てもインパクトのあるアイデアだった。もうひとつが去年のヴェネツィア・ビエンナーレ建築展2016にも出品したフォレンジック・アーキテクチャーである。まさに「前線からの報告」といった内容で、ネットなどを活用し、数多く収集した紛争地の爆弾映像を空間的に解析し、最後はその形状をオブジェ化する。このリサーチは修士設計でもできそうな手法だが、本当にこのプレゼンテーションで学生が見せたら、おそらく驚愕するだろう。
2017/02/22(水)(五十嵐太郎)
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