artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
アカデミア美術館
[イタリア、フィレンツェ]
久しぶりのアカデミア美術館へ。一部は六本木の美術館に来ていたが、ジョルジョーネのテンペスタ、ベリーニの傑作は不動だった。ボッシュの特別展示も開催されている。実はカルロ・スカルパが改修にかかわっており、よく見ると凝ったディテールを発見できる。またサムスンの出資で新しいエリアが増えており(もう日本企業はこういうところには関心がないようだ)、これもスカルパ・リスペクト風の展示デザインだった。
2016/09/10(土)(五十嵐太郎)
フォルトゥニー美術館
[イタリア、ヴェネチア]
ビエンナーレ詣でのおかげで、ヴェネツィアはもう10回以上の訪問になると思うが、フォルトゥニー美術館を初めて訪れた。まだまだ見知らぬ場所がある。これは画家、装飾家の豪邸を使ったもので、彼の作品、コレクション、博物学的なモノ、現代美術が渾然一体とした非ホワイトキューブの個性的な展示空間に魅了される。スーパースタジオやヨナ・フリードマンの作品も展示されていた。
写真:上2枚=《フォルトゥニー美術館》 下=スーパースタジオ
2016/09/10(土)(五十嵐太郎)
OMA《プラダ財団》
[イタリア、ミラノ]
竣工:2015年
OMAが蒸留場をリノベーション+新築したプラダ財団へ。エッジのある現代美術の展示も刺激的だったが、何より建築がすごい。あらゆる細部、素材の選び方、組み合わせ、構造がことごとく精密にセオリーを外し、なんとも言語化しづらい異様な濃密空間が出現している。ミースへのオマージュも興味深い。いわばヘタウマの極致に到達したと言うべきか。
2016/09/09(金)(五十嵐太郎)
トレ・トーリ駅周辺
[イタリア]
郊外のトレ・トーリ駅へ。駅に何ひとつお店がないくらい、真新しいシティ・ライフの開発エリアだが、磯崎新による高層ビルは完成していた。ただし、他の高層棟はまだ建設中である。駅の周辺にはザハ・ハディドやダニエル・リベスキンドによる強い個性の集合住宅が建っている。いずれも建築家の名前が、施設の名称についているところに感心させられた。日本ではひどいバッシングを招くから、ありえないだろう。
写真:上=磯崎新による高層ビル 左下=ザハ・ハディドによる集合住宅 右下=ダニエル・リベスキンドによる集合住宅
2016/09/09(金)(五十嵐太郎)
Triennale di Milano トリエンナーレ・ディ・ミラノ
会期:2016/04/02~2016/09/12
パラッツォ・ダルテ、トリエンナーレ会場、蒸気工場、ハンガー・ビコッカ、工科大学キャンパス、IULM大学キャンパス、ミラノ文化博物館ほか[イタリア、ミラノ]
パラッツオ・アルテにて、ミラノ・トリエンナーレを見る。メイン会場では、原研哉×ブランジの「100の動詞」による日本のデザイン紹介、充実したリサーチによるイタリアデザインと女性、11の居住空間モデルの展示、アートとしての建築パヴィリオン群などが主なプログラムだった。なお、洗練されたデザインによる韓国の工芸紹介のコーナーに比べて、隣の富山を紹介するコーナーはいかにも日本的な展示手法で、世界に届かない感じがしたのは残念である。
写真:左=上から、《パラッツォ・ダルテ》、「100の動詞」、イタリアデザインと女性 右上2枚=アートとしての建築パヴィリオン群、右下=11の居住空間モデル
2016/09/09(金)(五十嵐太郎)