artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
BODY/PLAY/POLITICS ─カラダが語りだす、世界の隠された物語─
会期:2016/10/01~2016/12/14
横浜美術館[神奈川県]
身体をキーワードとしており、埼玉県立近代美術館と似たようなテーマの展覧会だが、こちらはむしろアジアの各地で活動する作家を招聘し、それぞれの地域の文脈を語る。が、日本とは環境が異なるだけに、作品にややとっつきにくい面があったことは否めない。やはり、石川竜一の展示で紹介されていた、小さいおじさんとグッピーの写真とエピソードがずしんと来る。彼が書いたテキストもなかなか読ませる。常設では、絵画に描かれた横浜の特集展示だった。近代から現代まであるが、いずれも実際の場所と照合しながら見ると、さらに楽しめる。
2016/10/10(月)(五十嵐太郎)
NEW VISION SAITAMA 5 迫り出す身体
会期:2016/09/17~2016/11/14
埼玉県立近代美術館 2F展示室[埼玉県]
埼玉に所縁のある1980年代生まれのアーティスト7名を紹介する若々しい企画だ。タイトルにもっとも近い作品は、やはり生の身体に直接働きかける二藤建人である。鈴木のぞみは解体される家屋の窓が眺めた風景の記憶を定着させ、高橋大輔は膨大な数の厚塗り絵画で空間を埋め尽くす。小畑多丘は速度感ある木彫、青木真莉子は儀式的なアート作品で、それぞれに個性を発揮していた。
写真:左から、二藤建人、小畑多丘、青木真莉子
2016/10/07(金)(五十嵐太郎)
東北大学工学部建築・社会環境工学科設計課題「埼玉県立近代美術館アネックス計画」現地見学会
埼玉県立近代美術館[埼玉県]
東北大の設計の授業で、今年はポストモダンを現代から再解釈すべく、黒川紀章が設計した埼玉県立近代美術館のアネックス計画を課題に出したので、学芸員の平野到の案内により、学生と共に現地をじっくりと見学する。この美術館は何度も訪れていたが、それでもまだ知らない場所や部屋が結構ある。特にいまとなっては重要なワークショップの空間は、上階に登って一番奥なので、外部からはまずわからない。また、名古屋市美術館と共通するサンクンや、強い軸性を持つシンメトリーの外部階段など、あまり使われていない場所が存在するのも、もったいない。
2016/10/07(金)(五十嵐太郎)
さいたまトリエンナーレ 2016
会期:2016/09/24~2016/12/11
岩槻駅周辺[埼玉県]
2度目のさいたまトリエンナーレ訪問では、岩槻エリアの旧民俗文化センターに向かう。会場が駅から遠く、シャトルバスを走らせているのは、とても助かるが、車中がガラガラで心配になった。旧民俗文化センターはメイン会場というヴォリューム感で、それぞれに埼玉という場所を読みといた作品が多い。目による屋外のトリッキーな空間体験のほか、ソ・ミンジョンの新展開、多和田葉子、小沢剛、大洲大作、川埜龍三、藤城光、マテイ、アピチャッポン、オクイ、ウィスットらの作品をまとめて楽しめる。
写真:左=上から、旧民俗文化センター、多和田葉子 右=上から、小沢剛、川埜龍三
2016/10/07(金)(五十嵐太郎)
アート・ノード・ミーティング01 てつがくカフェ「アートは心地よいもの?」
会期:2016/10/02
せんだいメディアテーク[宮城県]
せんだいメディアテークへ。仙台で新しく始まる芸術祭とは違う形式を模索するアートノード・プロジェクトのアドバイザー会議に出席する。仙台在住のいがらしみきおの漫画を大胆に表紙で使うジャーナル0号も完成していた。終了後、館長の鷲田清一によるアートノード・ミーティングに参加する。いわゆる一方的なレクチャーではなく、オーディエンスの参加をうながしながら、2時間超の議論を成立させる、てつがくカフェの形式を初めて経験したが、意外に多くの発言を引き出すことができるものだと感心した。ちなみに、設定された議論のテーマは、「アートは心地よいもの?」で、これも多様な反応を生み出しており、絶妙な設定だった。
2016/10/02(日)(五十嵐太郎)