artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
ポーラ美術館コレクション モネからピカソ、シャガールへ
会期:2016/09/17~2016/11/13
宮城県美術館[宮城県]
ポーラ美術館のコレクションで構成されており、日本人が大好きな印象派とその直後を扱う。これもやはり教科書的なセレクションだが、作品の解説がちゃんと書かれているので、学習にはいいかもしれない。常設のエリアでは、具体美術協会の作家たちを特集している。前半のアクションペインティング系の絵画を壁に掛けず、床置きで鑑賞すると面白いかもしれない。
2016/10/02(日)(五十嵐太郎)
動き出す!絵画 ペール北山の夢 ─モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち─
会期:2016/09/17~2016/11/06
東京ステーションギャラリー[東京都]
美術雑誌や翻訳本の出版や展示などメディアの側面から、日本の近代美術の発展を支えたペール北山を中心に据えながら、日本における印象派の受容をたどる。教科書的とも言える流れだが、知らない作家も多くいて勉強になった。なによりも、数年間、集中的に美術にかかわった北山が、今度は国産初のアニメに着手し(展覧会のタイトルはこれに由来する)、およそ100年前に制作した3つの短編映像を鑑賞できたのが最大の収穫だった。
2016/10/01(土)(五十嵐太郎)
さいたまトリエンナーレ 2016
会期:2016/09/24~2016/12/11
さいたまトリエンナーレの大宮エリアを歩く。あいちトリエンナーレの長者町に比べると、期間限定の作品が多く、結構それぞれの位置が分散し、密度が薄い。区役所の地下の閉鎖された食堂における岡田利規のキャベツの千切りと半開きのドアの朗読劇の映像はいずれも印象に残る。彼はこうした日常の延長にあるズレを題材にすると、さすがのクオリティだ。長島確のこれから増えるであろう展開型の作品もあって、このエリアでは演劇系の活躍が目立つ。そして公園では、内部に入ることができる磯辺行久のエアドームが膨らんでいた。
写真:上から、岡田利規のキャベツの千切り、磯辺行久のエアドーム
2016/09/30(金)(五十嵐太郎)
杉本博司 ロスト・ヒューマン
会期:2016/09/03~2016/11/13
東京都写真美術館 2・3F[東京都]
リニューアルした東京都写真美術館杉本博司「ロスト・ヒューマン」展へ。もともとポスト・ヒストリー的感性をもつアーティストだが、今回はベタに世界が終焉する物語を複数書いて、それぞれの作品に寄せている。そのため、やや自虐的パロディ・キッチュSFな雰囲気が、上階の展示に生まれていた。一方、下階は斜めに割って、旧作の写真によるカッコイイ系インスタレーションである。
2016/09/29(木)(五十嵐太郎)
あいちトリエンナーレ2016 ラウラ・リマ《フーガ》ほか
会期:2016/08/11~2016/10/23
水上ビル[愛知県]
2周目の豊橋会場へ。前回は見る時間を確保できなかったラウラ・リマの鳥小屋と開発ビルを見る。前者は15分ほど行列に並んで入ると、ミニ川俣正的なインスタレーションが続き、4階建ての屋上まで空間を体験できるのが楽しい。ヒッチコックの映画『鳥』くらい、無数の鳥がいるかと思いきや、さすがにそうではなかった。後者は想像以上に広く使い、展示作品も粒ぞろい。以前、筆者が関わったキリンアートアワードで選ばれた佐々木愛も大作を制作し、がんばっていた。
写真:左=ラウラ・リマの鳥小屋 右=上から、《開発ビル》、佐々木愛
2016/09/25(日)(五十嵐太郎)