artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
あいちトリエンナーレ2016 栄会場
会期:2016/08/11~2016/10/23
旧明治屋栄ビルほか[愛知県]
あいちトリエンナーレ2016でまだ訪れていなかった栄会場へ。今回、目玉だった旧巨大倉庫の納屋橋会場はなくなったが、旧明治屋栄ビルは廃墟感があって、いい味を出している。ここの作品群も濃厚だった。端聡による水滴が光源で蒸発するインスタレーションは空間をぐっと引き立てる。中央広小路ビルでは、オフィス的な空間を活用した山田亘の大愛知なるへそ新聞編集部(前回は藤村龍至が設計事務所に見立てた)と、沖縄/北海道のミニ企画展示を行なう。
写真:上から、端聡、大愛知なるへそ新聞編集部
2016/09/05(月)(五十嵐太郎)
君の名は。
新海誠の映画『君の名は。』は傑作である。前半は時空男女入れ替えのラブコメでオタク的な要素を排し、後半はポスト3.11カタストロフ・セカイ系となり、新海真骨頂の大団円を迎える。現代建築が集積する都市の東京と対照的な、江戸東京たてもの園みたいな箱庭的と言うべき「糸守町」は、ともに建築が精緻に描かれていたことも興味深い。実際、物語の鍵となる記憶にとっても、建築の風景が重要だった。なお、男の主人公は建築学科の志望である。
2016/09/05(月)(五十嵐太郎)
建築学生ワークショップ明日香村2016 公開プレゼンテーション
会期:2016/09/04
キトラ古墳壁画体験館 四神の館[奈良県]
キトラ古墳壁画が公開間近の関連施設において、建築学生ワークショップ明日香村2016の最終プレゼンテーションに審査員として参加する。構造デザインや素材の批評もふんだんに織り込まれ、施工・制作のセコンド、サポーターもつく、実物をつくるこのワークショップは本当に面白い。中間講評では、抽象的であっても、学生は必ずやモノと向きあい、建築的なかたちをつくらねばならない。なお、最終結果は平均的というか妥当なラインで、ほぼ予想どおりになった。チームワークもよく、竹のしなやかで強い性質を生かした螺旋状のかたちの、もっとも美しい2班が最優秀賞である。そして中間発表の案どおりに、ひもで繋いだ木の集合を堅実に成立させた8班が優秀賞になり、提示した風のイメージを真面目に検討した7班が特別賞だった。ただし、個人的にもっとも印象に残ったのは、審査の直前に強風で倒壊してしまった1班の作品である。ほかの案がリスクをとらない方向になったのに対し、ぎりぎりの構造に挑戦し、一番高い構築物になっていた。なので、持ち点100は、あえて1班に85点、2班に10点、8班に5点と、かなり差をつけて投票した。
写真:上から、最優秀賞の2班、優秀賞の8班、1班
2016/09/04(日)(五十嵐太郎)
MONSTER Exhibition 2016
会期:2016/09/03~2016/09/07
渋谷ヒカリエ 8/COURT[東京都]
渋谷ヒカリエにて、公募の審査を担当した「MONSTER」展のオープニングに顔を出す。今年は「ポケモンGO」と『シン・ゴジラ』の登場によって、ハリウッド映画から日本に怪獣を取り戻す重要なモンスターイヤーだったが、出品作のレベルも向上している。個人的には片山美耶のカービングの技術によるお化けスイカの作品が、いかにもという怪獣ではなく、日常的なモノが不気味に変容しており、トラウマになりそうで印象に残る。
2016/09/02(金)(五十嵐太郎)
AnS Studio ロボット研究ラボ見学
[静岡県]
浜松の機械工場にて、アンズスタジオによるロボティックスの技術開発を見学する。中国で同様のプロジェクトを以前見せてもらったとき、モノのスケールが小さく、建築未満の状態だったが、ここでは建材サイズに到達し、新しい建築の可能性を感じさせる。
2016/08/29(月)(五十嵐太郎)