artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
エクセルシオール・ミラノ
[イタリア、ミラノ]
ジャン・ヌーヴェルによるエクセルシオール百貨店は、パサージュに面した建物の改装で制限を伴うプロジェクトだが、街路からも見える大きな電光スクリーン群、未来的に光るエスカレーターなど、彼らしい空間になっている。20世紀半ばのコルソ・エウロパの複合施設は、まさに建築群が都市をつくっている。サン・バビラ駅周辺のトーレ・SNIAヴィスコーサは80年前の建築だが、日本と違い、昔の文化遺産という扱いではなく、普通に都市景観に参加している。
写真:左=《エクセルシオール百貨店》 右=上から、コルソ・エウロパの複合施設外観、内観、《トーレ・SNIAヴィスコーサ》
2016/09/08(木)(五十嵐太郎)
《モンテドリア集合住宅とオフィスビル》ほか
[イタリア、ミラノ]
今回はジオ・ポンティをいろいろめぐるつもりだが、まずはガレリア近くのアニェーロの建物、中央駅近くの《モンテドリア集合住宅とオフィスビル》を訪れた。いずれも小さい写真だとわかりづらいが、実物は凹凸のあるタイルがファサードに豊かな表情を与えている。また窓のパターンや微妙な屈曲をもつ造形のデザインも面白い。ポルタ・ヴェネツィア駅近くの《カーサ・エ・トーレ・ラシーニ》は、ジオ・ポンティの1934年の作品であり、モダンな大理石のキューブは周囲から際立つ。また《カ・ブルッタ》の建つ交差点に面して、ジオ・ポンティの第1と第2《モンテカティーニ・オフィスビル》が並ぶ。前者が1938年、後者が1951年だが、いずれも平滑な面に仕上げたファサード、開口部の配置、アルミや大理石など素材の組み合わせが美しい。特に前者はミース型でないビルとして白眉と言える。
写真:左=上から、《ガレリア》、ジオ・ポンティによるアニェーロの建物、《カ・ブルッタ》 右=上から、《モンテドリア集合住宅とオフィスビル》《第1モンテカティーニ・オフィスビル》《第2モンテカティーニ・オフィスビル》
2016/09/08(木)(五十嵐太郎)
サンタ・マリア・プレッソ・サン・サティロ聖堂
[イタリア、ミラノ]
ブラマンテが設計したサン・サティロ教会を久しぶりに訪れる。奥行きがないために、内陣の空間を確保できず、遠近法を利用したレリーフ状のモチーフを設け、T字プランを十字であるかのように錯覚させた建築だ。ルネサンスが街中にひっそりと当たり前のように残るのは、やはりよく考えると、すごいことである。一方、観光客が大挙して押し寄せるドゥオモは、大聖堂なのに、とうとう入場料をとるようになり、京都・奈良の社寺に近づいてきた。
写真:《サン・サティロ教会》
2016/09/08(木)(五十嵐太郎)
1900年代美術館
[イタリア、ミラノ]
ドゥオモの横にある1900年代美術館へ。未来派、アルテ・ポーヴェラ、見晴らしがいい最上階のフォンタナを展示した空間など、充実したイタリアの近現代美術のコレクションを楽しめる。ただし、狭い空間のリノベーションのために、動線はかなりややこしい。なお、ムッソリーニの演説のためのバルコニーに続く外部階段もあり、ファシズム建築の雰囲気をもつ。隣接するパラッツォINAも同時代の古典テイストの建築である。
写真:上から、《1900年代美術館》、フォンタナを展示する最上階、《パラッツォINA》
2016/09/08(木)(五十嵐太郎)
あいちトリエンナーレ2016 芸術大学連携プロジェクト合同展覧会「Sky Over III」ほか
会期:2016/08/10~2016/10/23
アートラボあいち大津橋、アートラボあいち長者町[愛知県]
2巡目の長者町めぐりを経て、アートラボあいち大津橋と長者町を訪問する。「SKY OVER III」展は、アーツチャレンジのときに選んだ名知聡子(今回はいつもの大型肖像画以外に写真や一部立体作品も)、荒木由香里らが参加している。山内毬弥さんは初見だが、エログロ少女漫画?風作品で、すごいインパクトだ。途中で大巻伸嗣の作品を見ようと、損保ジャパン日本興亜名古屋ビルに立ち寄る。が、15分入れ替え制で、到着したらあと13分半待ってのタイミングで、小雨が降るなか外で待つのは辛いので諦める。ちなみに、この建築は黒川紀章の設計である。特に1階はポストモダン色が強く、名古屋市美術館との類似点も楽しめる。
写真:左=《損保ジャパン日本興亜名古屋ビル》 右=上から、名知聡子、山内毬弥
2016/09/05(月)(五十嵐太郎)