artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
画家たちと戦争:彼らはいかにして生きぬいたのか
会期:2015/07/18~2015/09/23
名古屋市美術館[愛知県]
14名の画家を選び、それぞれの戦前期、戦中期、戦後期の作品をコンパクトに並べて、その変遷を比較する。作家ごとに戦争をどう受けとめたのか、その違いがよくわかり興味深い。香月泰男など、広島現美の戦争展示と共通する作家も含まれていた。カタログ巻末の年表というか、日月表の資料がえらく充実している。
2015/08/07(金)(五十嵐太郎)
もとの黙阿弥
会期:2015/08/01~2015/08/25
新橋演舞場[東京都]
明治時代を描く、井上ひさしの舞台である。縁談予定の男女が、まずは相手の本音を探ろうと、それぞれの書生と女中と立場を交換して、四名で会い、混乱のラブコメが展開していく。いかにも西洋の古典にありそうな普遍的な構造をもった原作なので、昼食時間も含む3時間超えの長丁場ながら、飽きさせることがない。
2015/08/03(月)(五十嵐太郎)
ディン・Q・レ展:明日への記憶
会期:2015/07/25~2015/10/12
森美術館[東京都]
事前の想像をはるかに超えて、素晴らしい展覧会だった。横浜トリエンナーレ2014でヘリコプターのCGを単独で見たときはあまりピンと来なかったが、こうして全体の仕事を理解すると、納得がいく。主にベトナム戦争を扱う社会派の作家だが、問題を告発して終わりではなく、アートならではの表現にきちんと落とし込み、さらに作品の完成度が高い。頭のよい作家だと感じた。冒頭のトンボからヘリコプターのイメージに連なる映像、おびただしい家族写真を散りばめた部屋、従軍画家の作品を再評価するプロジェクト、軍服のコスプレをする男など、どの作品も印象深い。
2015/08/02(日)(五十嵐太郎)
「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展
会期:2015/06/24~2015/08/31
国立新美術館 企画展示室 1E[東京都]
手塚治虫が亡くなった1989年以降から現在までの作品を扱うが、実質的にはデジタル技術がいかにサブカルチャーの表現に浸透したかをたどる内容である。全体としては点数がかなり多く、確かに現代の動向を総覧できる場になっていたが、逆に個々の掘り下げはどうしても浅く、展示の方法も難しい。マンガに知らない作品が多かった。
2015/08/02(日)(五十嵐太郎)
アーティスト・ファイル2015 隣の部屋──日本と韓国の作家たち
会期:2015/07/29~2015/10/12
国立新美術館 企画展示室 2E[東京都]
韓国と共催し、両国の作家を紹介する企画展である。小林耕平は解説も付く、笑える「難解」な現代美術、手塚愛子はテキスタイルをほどく形式のさらなる展開だった。韓国側で印象に残ったのは、ダンボールハウスを購入して(3,000円程度)、その材料を再構成するイ・ウォノ、済州島を扱うイム・フンスンなどである。
2015/08/02(日)(五十嵐太郎)