artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

大江宏《乃木会館》

[東京都]

竣工:1968年

Cakesのウェブサイトに寄稿している連載で、大江宏の「混在併存」について書いたばかりだったので、久しぶりに乃木会館を訪れる。結婚式の打ち合わせで来ている人がちらほら。大江が、南欧、地中海、イスラムのエリアを旅行した直後の仕事であり、国籍不明な外観と、和を基調とするインテリアのズレ具合が、きわめてユニークである。カッコいいとか、美しいではなく、興味深い建築である。

2015/08/02(日)(五十嵐太郎)

フィールドオフィス・アーキテクツ展 Living in Place

会期:2015/07/10~2015/09/12

TOTOギャラリー・間[東京都]

台湾の宜蘭に拠点を置き、現地で多くのプロジェクトを手がけた建築集団の仕事を紹介する。ここで台湾の建築家を紹介するのは初めてかもしれないという意味でも、貴重な企画だろう。独特の手触りで、流行と関係なく、力強く地域の風景をつくり出していくデザインが特徴だ。もっとも、明らかに近年まれに見る力作の展示なのだが、説明、キャプション、模型の照合などがわかりにくいのは、残念である。

2015/08/02(日)(五十嵐太郎)

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動きのカガク展

会期:2015/06/19~2015/09/27

21_21 DESIGN SIGHT[東京都]

21_21デザインサイトの「動きのカガク展」は、動きをテーマにしていることから、ただ静止したモノを観覧する展示と違って、やはり会場が活気に溢れ、楽しい。鑑賞者の動きに合わせて、一斉に矢印が同期して同じ方向を向いたり、ゾートロープを装置越しに眺めると動画になるインタラクティブな作品などがある。毎回、ここの企画展で思うことだが、どこかの科学館での常設に組み込んで欲しい内容だ。日用品の影を街並みに見せるクワクボの作品も、初見なら絶対に感動するはずだ。

2015/08/02(日)(五十嵐太郎)

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グラフジャーナリズムの開拓者「マーガレット・バーク=ホワイト作品展」

会期:2015/08/01~2015/11/02

FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館[東京都]

久しぶりに六本木周辺で展示をはしごする。ミッドタウン、フジフイルムスクエアのマーガレット・バーク=ホワイト展。クライスラービルの頂部で撮影したガーゴイルの写真で知られるフォトエッセイの人である。土木や機械のカッコいい写真に加え、女性初のアメリカ空軍公式写真家として戦地や飛行機からの驚くべき写真の数々を展示していた。

2015/08/02(日)(五十嵐太郎)

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進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 前編

実写版の『進撃の巨人』を見る。登場人物や舞台など、話題になった諸々の設定変更は、そもそも原作の物語構造がほかの状況でも通じる神話的な普遍性をもっているし、日本で実写の映画を制作するなら、これでもよかったと思う。中世ヨーロッパ風の街並みにこだわっていたら、むしろ悲惨な結果を招いたかもしれない。冒頭20分くらいまでのたたみかける特撮や、軍艦島を活用したシーンも悪くない。が、肝心の立体機動シーン、そして人物の造形、会話、行動はあまり感心しなかった。原作と違うからではなく、人間が描けていないからである。

2015/08/01(土)(五十嵐太郎)