artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

保坂猛《湘南キリスト教会》

[神奈川県]

竣工:2014年

研究室のゼミ合宿で、保坂猛による湘南キリスト教会を見学した。内部はバウスベアー教会を彷彿させる曲面天井で、外部からの視線を遮断しつつ、上からの光をとり込む。また、可動の間仕切りにより、堂内を延長し、フルフラットの大空間にも変形する。

2015/09/04(金)(五十嵐太郎)

映画『さよなら人類』トークショー

会期:2015/09/02

YEBISU GARDEN CINEMA[東京都]

ロイ・アンダーソン『さよなら、人類』のトークに登壇。マットペイントの木村俊幸と。この映画は、徹底的にスタジオのセットをつくり込んでおり、トーマス・デマンドの作品のなかで、映画を撮影しているような雰囲気である。また、斜めの角度からの室内描写や、緻密に構築された奥の見える開口も面白い。そして、トボケた間合いが生じる独特な間と設定による笑いが絶えない、ワンカットの短編を数珠つなぎにしたような作品である。映画の古くて新しい感じは、もしかすると映画以前の19世紀におけるパノラマ的な視覚にも通じるかもしれない。ほかにジョージ・シーゲルの人間彫刻、ヴィルヘルム・ハンマースホイの室内画なども想起させる。

2015/09/02(水)(五十嵐太郎)

ホーボーズ・ソング HOBO’S SONG ~スナフキンの手紙Neo~

会期:2015/08/25~2015/09/27

東京芸術劇場シアターウエスト[東京都]

作・演出、鴻上尚史「スナフキンの手紙 NEO」@東京芸術劇場。冒頭は能天気なビーチの描写から始まるが、一転していきなり日本が内戦状態に突入するという展開で物語が進行する。イラク侵攻から歴史が変わり、右的な日本軍と左的な新日本軍に分裂し、前者は後者をテロリスト呼ばわりし、自爆攻撃も厭わない。正義、天皇、笑いのテーマが交錯する意欲作だった。

2015/09/02(水)(五十嵐太郎)

ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours

会期:2015/07/25~2015/09/23

国立国際美術館[大阪府]

大阪の国立国際美術館へ。ティルマンス展は、部屋ごとにテーマを設定し、さまざまなサイズの写真を分散的に並べ(しかもピン、クリップ、テープなどを使う、ラフな設置の方法)、それがポツ窓のように見えるので建築空間の中にいるような感じだった。彼は、あらゆるイメージとその表層を狩猟するが、今回は日本の時事問題を扱う台置きの展示もあって、意外な側面もうかがえる。

2015/09/02(水)(五十嵐太郎)

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インサイド・ヘッド

ピクサーの『インサイド・ヘッド』を見る。もっと単純なお話と思いきや、想像以上に深く、複雑な感情の仕組みと成長を描いた物語だった。特にカナシミの存在価値や記憶やアイデンティティの意味は、へたな脚本の実写映画よりはるかに出来がよい。アニメにおける視覚映像の実験な試みもあって楽しめる。

2015/09/01(火)(五十嵐太郎)