artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

宮本忠長《松本清張記念館》

[福岡県]

竣工:1998年

宮本忠長が設計した《松本清張記念館》は、シブい建築だった。文学館は美術館に比べて、どうしても展示が地味になりがちだが、その内部吹抜けにおいて、書斎や書庫込みで松本清張の自邸を二階建てで再現した巨大な展示は迫力があった。

2015/09/01(火)(五十嵐太郎)

磯崎新《北九州市立中央図書館》ほか

[福岡県]

久しぶりに小倉駅の周辺を歩く。《リバーウォーク北九州》、鉄筋コンクリートの小倉城、文学館の棟でピーターラビット展が開催されていた磯崎新の《北九州市立中央図書館》など、コンパクトなエリアに多彩な建築が集まっている。なお、日本はかなり早い時期から『ピーターラビット』を紹介していた国だったが、著作権保持者とちゃんと契約して、翻訳を出したのは相当後だった。

写真:上=《リバーウォーク北九州》、中・下=《北九州市立中央図書館》

2015/09/01(火)(五十嵐太郎)

CCA建築ワークショップ2015

会期:2015/08/29~2015/08/31

現代美術センターCCA北九州[福岡県]

午後から現代美術センターCCA北九州の建築ワークショップ2015の講評とトークに参加した。大阪市立大宮本佳明研、神奈川大曽我部研、日本工業大小川次郎研の学生らが、村野建築を軸にしながら、八幡駅前と接続するエリアについて提案を行なう。道路を新築される病院までの活発なロビーと見立て、駅からのビュー、図書館の保存などが主旨だった。その後、僕があいちトリエンナーレ2013の作品を紹介しながら、「建築/アート/リノベーション」のレクチャーを行ない、続いて、宮本の司会により、倉方俊輔、笠原一人を交えた村野藤吾の市民会館のリノベーションの可能性をめぐるトークだった。アートの場に変えるならば、構造補強にもなるコミッションワークができると面白いかもしれない。

2015/08/31(月)(五十嵐太郎)

村野藤吾《八幡市民会館》ほか

[福岡県]

八幡へ。駅前には村野藤吾の建築が三つも近接して群として残っており、貴重な場だった。《八幡市民会館》は雨のなか、普段見えない場所まで細かく見学する。目黒の村野展でも感じたことだけど、本当にかたちが面白い。しかもバリエーションがあって、特に駅前の銀行(福岡ひびき信用金庫本店)がそうだが、てっぺんの造形もチャーミングである。

上=。《八幡市民会館》外観、中=同内観、下=《福岡ひびき信用金庫本店》

2015/08/31(月)(五十嵐太郎)

歌劇ブラック・ジャック ─時をめぐる3章─ ~手塚治虫作「ブラック・ジャック」より~

会期:2015/08/30

アクトシティ浜松 大ホール[静岡県]

演出・あいちトリエンナーレオペラの田尾下哲 × 作曲・宮川彬良×脚本・響敏也である。時をテーマに3つのエピソードで構成しているが、手塚治虫のマンガ「ブラック・ジャック」でさえ題材にできるのだから(特に手術のシーン!)、オペラはあらゆることが表現できるのかもしれない。やはり原作のよさがひきつける。実際、選ばれたエピソードはどれも読んでいて、内容を覚えていた。美術・松岡泉は演劇「解体されゆくアントニン・レーモンド建築」でも担当した人で、三部ともテイストを変え、めまぐるしい展開をさまざまな趣向で表現している。

2015/08/30(日)(五十嵐太郎)