artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
村野藤吾の建築─模型が語る豊饒な世界
会期:2015/07/11~2015/09/13
目黒区美術館[東京都]
目黒区美術館のエントランスホールで待ち合わせをしようとしたらダメと言われた。つまり、館内に無料ゾーンがまったくない。ホームレス対策なのかもしれないが、暑いのに外で待てということか。さらにホールにある展示品がない空間を撮影したら強制消去させられた。ここは一応、税金を使う「公共」の美術館だと思うが、疑問を感じざるをえない。
気を取り直して「村野藤吾の建築」展を見る。いきなり不愉快な思いをしたせいで、同じ建築模型展だが、東京都現代美術館のニーマイヤー展の開放感との対比が余計強く印象に残った(これを企画した京都工繊に罪はないと思いますが)。ともあれ、村野のかたちのバリエーションの豊かなことに感心させられる。特に模型で見ると、上からのぞき込むため、塔屋の形態が面白いことに気づかされる。
2015/08/18(火)(五十嵐太郎)
ジュラシック・ワールド
DNA操作によるハイブリッド型恐竜の暴走は、過不足なく、出来がよく、面白い。この作品にテーマパーク的なアトラクションを求めるならば、大満足である。一方、予想外のことがあまりにもない。22年前の一作目は新しい形式の発明だったと思うが、本作は発明なきバージョンアップというべきか。
2015/08/17(月)(五十嵐太郎)
われらの時代:ポスト工業化社会の美術
会期:2015/04/25~2015/08/30
金沢21世紀美術館 展示室[石川県]
北陸新幹線による初の金沢往復。学生のときはよく夜行なども使ったのを思うと、本当に便利になった。10周年企画で、21世紀の若手を紹介する金沢21世紀美術館「われらの時代:ポスト工業化社会の美術」展は、激混みだった。300人が木を演じる泉太郎、ISISの斬首映像を想起させる小金沢健人、日本画の新領域を開拓する三瀬夏之介らが印象に残る。ただし、一番驚いたのは、冒頭の大久保ありの架空物語作品で、いきなり筆者の妹の肖像写真がデカく登場したことだった。
上から、三瀬夏之介、金氏徹平
2015/08/15(土)(五十嵐太郎)
No Museum, No Life? ──これからの美術館事典 国立美術館コレクションによる展覧会
会期:2015/06/16~2015/09/13
東京国立近代美術館 企画展ギャラリー[東京都]
冒頭の「建築」や「アーカイヴ」から始まって、アルファベット順に並べたさまざまなキーワードによって、美術と美術館の関係を提示する興味深い試みである。展覧会を成立させる背景について伝える内容が多い。トラフが会場構成を担当し、遊び心のある空間になっていた。
2015/08/14(金)(五十嵐太郎)
MOTコレクション 戦後美術クローズアップ
会期:2015/07/18~2015/10/12
東京都現代美術館 常設展示室 1階、3階[東京都]
常設の「MOTコレクション 戦後美術クローズアップ」は、特に万博粉砕ブラックフェスティバルなど、1968~70年頃のベトナム反戦、沖縄闘争、反安保、反博系の美術運動に関する記録と映像が印象に残る。素材のセクションでは、全長20mもある遠藤利克の《泉》が、部屋いっぱいに横断していた。
2015/08/14(金)(五十嵐太郎)