artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
高松次郎──制作の軌跡
会期:2015/04/07~2015/07/05
国立国際美術館[大阪府]
東京の国立近代美術館における高松次郎展は、キュレーターや展示のデザインによる遊び心を感じる内容だった。が、こちらは多くのスケッチ、作品、装幀の仕事などを増やし、時系列にそれぞれのシリーズを並べ、通常は常設に使うフロアも含めて、二層にわたって全館を使う大規模な正統派の回顧展になっていた。彼の作品において、平面上に描かれた空間は、建築的にみても興味深い。
2015/06/09(火)(五十嵐太郎)
イオンモールKYOTO
[京都府]
京都芸大のレクチャーで立ち寄った桂川駅の真横にも、新しいイオンモールが誕生していたが、前々から気になっていた京都駅すぐそばのイオンモールに足を運んだ。内部の空間はあまりダイナミックではない。が、京都駅ビルに呼応するような屋外の大階段をのぼりきって、振り返ると、目線と合う、ちょうどいい高さで新幹線が走っている。おそらく、ここが見せ場なのだろう。
2015/06/08(月)(五十嵐太郎)
唐組・第55回公演「透明人間」
花園神社[東京都]
ジャンル:パフォーマンス
水を怖がる犬のイメージが、めくるめく飛翔し、戦時下の中国と行き来しながら、水につかれた幻想の世界に誘う演劇である。赤テントの仮設構築物ゆえに、ラストはパンと舞台がはじけて、屋外の空間と一気につながり、爽快な開放感を味わう。水がテーマであり、実際に大量の水も使うだけに、この演目ならば、雨の日に観劇するのも、悪くないかもしれない。
2015/06/07(日)(五十嵐太郎)
MOTコレクション特別企画 コレクション・ビカミング
会期:2015/01/24~2015/06/28
東京都現代美術館[東京都]
これまでトーキョーワンダーウォール公募入選作品展のタイミングで、あまり東京都現代美術館を訪れたことがなかったが、今回は初めて遭遇した。名古屋のアーツチャレンジ2015で選ばれた田中里奈がここでも入っているほか、片貝葉月による手づくり感あふれる痛ましい身体矯正マシーンの数々が印象的だった。また常設展では、コレクションとは何かを切り口にしており、絵画の裏側から読み取れる履歴の情報を見せるなど、普段は意識しない内容を楽しむことができた。
2015/06/07(日)(五十嵐太郎)
山口小夜子──未来を着る人
会期:2015/04/11~2015/06/28
東京都現代美術館[東京都]
「山口小夜子──未来を着る人」展がよかった。70年代に日本から登場したミューズとしての活動と、モデル業以外のアートとの積極的な関わりを回顧するものだ。素顔や初期の写真・映像を見ると、意外に丸い目で、日本的なかわいらしさを感じさせる。一方、有名な切れ長を強調したメイクは、まさに海外から見た東洋の美女イメージであり、彼女は両者を横断していたことがわかる。
2015/06/07(日)(五十嵐太郎)