artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

オットー・ワグナー《カールスプラッツ駅》

[オーストリア、ウィーン]

竣工:1899年

オットー・ワグナーの《カールスプラッツ駅》へ。向き合う対になった建築であり、片方はカフェ、もう一方は教会の隣に計画していたシティ・ミュージアムのプロジェクトを中心にワグナーの作品群を紹介するパヴィリオンとなっている(昔は、この展示はなかったような気がする)。またワグナーによる《マジョリカハウス》を含む都市建築群は、グラフィカルな装飾と皮膜としての下部のファサードを強調したデザインだ。

2015/06/20(土)(五十嵐太郎)

フィッシャー・フォン・エルラッハ《カールス教会》/ヨハン・ルカス・フォン・ヒルデブラント《ペーター教会》

[オーストリア、ウィーン]

竣工:1737年/18世紀

ウィーン・バロックは結構好きなので、フィッシャー・フォン・エルラッハの《カールス教会》や、ヒルデブランドらが設計した《ペーター教会》を再訪した。外部はバロック的な構成のみで、それほど装飾過多ではないが、内部の空間が派手である。それにしても、前者はヨーロッパには珍しく、教会なのに高い入場料が必要で、まるで京都や奈良にあるお寺のようだ。

写真:左=《カールス教会》、右=《ペーター教会》

2015/06/20(土)(五十嵐太郎)

Wien Die Perle des Reiches - Planen für Hitler

会期:2015/03/19~2015/08/17

ウィーン建築センター[オーストリア、ウィーン]

ミュージアムクォーターにあるウィーン建築センターへ。常設の展示は前と同じである。いつ訪れても、その国の建築の歴史を振り返ることができる展示があるのはうらやましい。日本には、それがないからだ。企画のエリアでは、建築やデザインの比重が高いウィーン・ビエンナーレ2015に合わせたラカトン&ヴァッサルらが参加した都市再開発のコンペを展示している。またドイツ帝国の「真珠」と呼ばれ、ヒトラー統治時のウィーンの建築・都市の企画展も開催していたが、資料も充実していた。この都市では、すでに彼好みの壮麗なリンクの建築群があり、鉤十字や鷹のシンボルを足すだけで風景が変化していたのは興味深い。それに飽き足らず、新規の建築群、交通・都市・住宅計画などさまざまなプロジェクトが動いていた。おそらく建築家にとっても魅力的な大改造だったのだろう。

写真:上から、ウィーン建築センター、ラカトン&ヴァッサルらが参加した都市再開発のコンペ

2015/06/19(金)(五十嵐太郎)

Neustiftgasse 40

[オーストリア、ウィーン]

竣工:1898年/1899年

8年ぶりにウィーンを訪れた。未見だったオットー・ワグナーによるD blergasse-Neustiftgasseのアパートを見学する。ファサードは、彼特有のかわいらしい破線が縁を囲んだり、金属鋲のアクセントが目立つ。古典主義系の隣の建物との連続性に配慮しつつ、表面のグラフィック化を強く志向する建築だ。

2015/06/19(金)(五十嵐太郎)

アンブロークン

エミレーツ航空で、アンジェリーナ・ジョリー監督『アンブロークン』を見る。不屈のイタリア男のオリンピック(ドイツや日本との関わりにも触れる)、1カ月半の過酷な海上漂流サバイバル生活、そして日本軍の虐待が、物語の骨格となっている。が、これで反日映画とされ、公開中止か? という状況に改めて驚く。ただ、映画作品としては必ずしも傑作でない。

2015/06/18(木)(五十嵐太郎)