artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
チャッピー
映画『チャッピー』を見る。ニール・ブロムカンプ監督の『第9地区』に続く傑作である。パトレイバーやアップルシードなど、日本の漫画・アニメをリスペクトするSFの意匠をまといながら、オタク・ガジェットの実写にとどまらず、教育、成長、親子をテーマとした普遍的な物語になっている。最後は、精神/データ的な存在を扱い、映画で設定されているSFの次元が変わってしまうのは気になったが、これは中身が大事という劇中の台詞に通じてはいる。難を言えば、悪役の造形・動機が理解しづらく、あまり深掘りされていないことか。
2015/05/25(月)(五十嵐太郎)
山海塾「海の賑わい陸の静寂──めぐり」
会期:2015/05/20~2015/05/31
世田谷パブリックシアター[東京都]
世田谷パブリックシアターにて、山海塾「海の賑わい陸の静寂──めぐり」を見る。その雄大な身体の動きは、舞踏が始まる前からすでに始まっており、終わってからもまだ続いているような雄大な時の流れを感じさせる。さすが40年の年季だ。西洋的でない身体が海外から注目される感じもよくわかる。特に痙攣と最後の挨拶の所作が印象的だった。
2015/05/24(日)(五十嵐太郎)
シンプルなかたち展:美はどこからくるのか
会期:2015/04/25~2015/07/05
森美術館[東京都]
森美術館の「シンプルなかたち」展へ。ICCと同様、理系的なアートが多く、楽しいが、古今東西いろんなものがあって、やや拡散しすぎかもしれない。おそらく企画者の関係で、フランスから借りたものが多い。個人的に大巻伸嗣の作品がベストだった。空気の力でふわふわと軽やかに浮かぶインスタレーションは、背後に東京の風景が重なり美しい。
2015/05/24(日)(五十嵐太郎)
藤本壮介 展 未来の未来
会期:2015/04/17~2015/06/13
TOTOギャラリー・間[東京都]
ギャラリー間の藤本壮介「未来の未来」展へ。会場では所狭しと、大量の模型が等価に並ぶ。見所はいわゆる「建築」プロジェクトの模型ではなく、紙をくしゃくしゃと丸めたような、日用品を変形させたモノが数多く紛れていることだろう。美術家が日常からアートを発見するように、彼が何気ないものから建築を創造する様子がうかがえて興味深い。最初の小さい模型、筆者が展示を企画したキリンプラザの展示K-HOUSEのようだ。
2015/05/24(日)(五十嵐太郎)
高橋コレクション展 ミラー・ニューロン
会期:2015/04/18~2015/06/28
東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]
東京オペラシティアートギャラリーの高橋コレクション展「ミラー・ニューロン」へ。さすがに日本の現代美術を牽引した作家が勢ぞろいしている。ただし、この企画はすでに何度か開催しているので、高橋個人を軸に構成した内容をもっと見たかった(カタログはわりとそうなっているが)。会田誠と村上隆による屏風は、長谷川等伯が見る方向によって変わる三次元的なインスタレーションだったのに対し、平面的な作品である。
2015/05/24(日)(五十嵐太郎)