artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
MONSTER Exhibition 2015
会期:2015/06/04~2015/06/08
渋谷ヒカリエ 8/COURT[東京都]
渋谷ヒカリエの8階にて、MONSTER exhibition2015が開催された。被災地の仙台で企画された怪獣をテーマにした公募であり、デザインやアートが同居する異種格闘技の雰囲気は、以前審査を担当したキリン・アートアワードを思い出す。今回は造形としてのデザインよりも、精神的な脅威としての怪獣性に注目し、児玉龍太郎の13分の不穏な短編映画『小僧枯』が気になった。本展はニューヨークに巡回する予定だが、『ゴジラ』や『チャッピー』など、日本リスペクトの映画が海外で次々と発表されるなか、本家の怪獣に対する創造力を見せてほしい。
2015/06/03(水)(五十嵐太郎)
セッション
映画『セッション』を見る。確かに、手から血がにじみ出るほど、凄まじいドラムの練習シーンは、リアリズムの描写ではなく、かなり戯画的で、スポ根・マンガのようだ。特にラストの演奏が、ハイライトになる音楽バトルの映画だが、果たして天才を育てることは可能なのか、という教育論としても見ることができるだろう。もっとも、天才になるためには、常人の俗な生活をしていてはダメという極論を示しているのだが。
2015/06/01(月)(五十嵐太郎)
NICKELBACK NO FIXED ADDRESS TOUR ニッケルバック ノー・フィックスド・アドレス・ツアー
会期:2015/05/30
東京体育館[東京都]
ニッケルバック@東京体育館。ギター・ソロはほとんどがないが、とにかく声と曲がいい。そしてグルーヴ感のあるリズムが、ぐいぐいと引張っていく。最近、足を運んだインペリテリ@ TSUTAYA O-EASTとは、対照的なバンドだった。このときはヴォーカルとベースがほぼ見えない位置だったが、世界最速とされるギターのクリスだけは見える。このバンドなら、それで十分だ。演奏は思っていたよりも、タッピングが多い。
2015/05/30(土)(五十嵐太郎)
読売交響楽団 第80回みなとみらいホリデー名曲シリーズ
会期:2015/05/30
横浜みなとみらいホール[神奈川県]
読売交響楽団@みなとみらいホール。ユーリの指揮によって、それぞれに個性が強い三曲を楽しめた。最初のリムスキー=コルサコフ「シェヘラザード」では、日下紗矢子による異国情緒を感じさせる、艶やかなヴァイオリン独奏の音色。続いて、ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」は、タイトルどおり、戦争で片手を失ったピアニストのためにつくられた曲だが、河村尚子が力強く、片手だけを使い、演奏を行なった。そして「ダフニスとクロエ」では、難易度が高いフルートの長いソロである。
2015/05/30(土)(五十嵐太郎)
「線を聴く」展
会期:2015/04/24~2015/07/05
メゾンエルメス8階フォーラム[東京都]
メゾンエルメスの「線を聴く」展へ。森美術館の「シンプルなかたち」展と呼応する企画である。富士山の等高線の部分をひたすら切り取って、本当に線だけを並べる髙田安規子・政子の作品は凄まじい手作業に支えられているが、ロジェ・カイヨワによる石コレクションの素晴らしさを見ると、自然がつくる造形のすごみに感心する。建築からは、アトリエ・ワンが大きなバージョンのマンガ・ポッドを出品していた。
2015/05/27(水)(五十嵐太郎)