artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

寺山歌劇★くるみ割り人形

会期:2015/05/02~2015/05/05

座・高円寺2[東京都]

楽塾「寺山歌劇★くるみ割り人形」@座・高円寺で見る。ホフマンの物語が、にぎやかなアングラ・寺山ワールドになっている。確かに力作だと思うが、同じく古典的な作品を素材とした蜷川によるシェイクスピアや、ナカフラによるモリエールでは感じなかった現代とのズレが最後まで気になった。くるみ割り人形では、高齢になった俳優たちが若々しく熱演していたが、無理をしている感もあり、むしろその老いた身体性を生かす演出はできないだろうか。

2015/05/03(日)(五十嵐太郎)

ボッティチェリとルネサンス

会期:2015/03/21~2015/06/28

Bunkamuraザ・ミュージアム[東京都]

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアム「ボッティチェリとルネサンス」展を見る。ウフィツィ美術館などから集めた作品を紹介したものだ。文句なく美しいものから、バランスや表情が雑なものまで、絵画のクオリティのばらつきが大きい。が、逆に同時代におけるそうした違いが比較できて興味深い。時代順に追っていくと、女性=ヴィーナスの顔もだんだんキャラ化している。

2015/05/03(日)(五十嵐太郎)

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DUBHOUSE:物質試行52/映画としての音楽

会期:2015/04/25~2015/05/08

K's cinema[東京都]

新宿 K's cinemaにて、七里圭の作品『DUBHOUSE:物質試行52』と『映画としての音楽』を見る。前者は鈴木了二との共同監督であり、DUBの記録映画でもある。特に作品の前半は、ほぼ真っ黒な闇の画面が続き、音だけが響く、強烈な体験だった。こうなると、自分が鑑賞している場そのものの音響や空間に対して鋭敏になる。後者は映画史をたどりながら、やはり音の圧倒的な存在感で迫ってくる。これはただ見る映像ではなく、モノとしての映画ではないだろうか。

2015/05/02(土)(五十嵐太郎)

中野成樹+フランケンズ「ラブコメ改」

会期:2015/04/29~2015/05/03

シアターノルン[東京都]

蒲田のシアターノルンにて、中野成樹+フランケンズ「ラブコメ改」を観劇する。彼が得意の誤意訳によって、モリエールの作品「女房学校」の本質を残しつつ、現代の悲喜劇に変えたものだ。俳優陣がつくり出す独特の間もよく、大変に面白い。登場人物のなかで、女性と金が交換されていくプロットは強力である。また、大きなベッドを舞台とする舞台美術も興味深い。

2015/05/02(土)(五十嵐太郎)

異国の面影─横濱外国人居留地1895─迷いこんだのは、120年前の地図の中

会期:2015/04/22~2015/07/12

横浜開港資料館[神奈川県]

横浜開港資料館にて、「異国の面影 横浜外国人居留地1895」展を見る。120年前の地図の中に迷い込んだという設定で、当時の街並みを詳細に紹介する好企画だ。英文によって個別の建物の構造や階数を詳細に記した、昔の地図が興味深い。いまでもアジアの都市だと、こういう近代のヨーロッパ的な風景が残っているところは少なくない。だが、改めて横浜は、震災、戦災、そして戦後の開発でそういった風景を完全に失ったことを痛感する。

2015/05/02(土)(五十嵐太郎)

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