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五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

神奈川県庁本庁舎

[神奈川県]

ゴールデンウィークで、神奈川県庁本庁舎の建物公開がなされており、初めて内部を見学した。普段は入ることができない、本庁舎の旧議場、知事室、旧貴賓室ほかの位置やインテリアなど、時代も近く、同じく帝冠様式として括られる、名古屋市庁舎や愛知県庁舎と比較すると興味深い。旧正庁にはアクセスできなかったが、すでに機能が変わり、だいぶ空間は変わったようだ。また6階の歴史展示室は、歴代の庁舎を紹介する。そして緑化された屋上は、キングの塔を真上に見上げる視点を提供し、まわりを見渡すと、ジャックの塔、クイーンの塔、横浜大さん橋ターミナルを一望できる素晴らしい場所だった。

写真:左上から、県庁舎内観、県庁舎内装、県庁舎屋上 右上から、県庁舎外観、県庁舎内装、横浜大さん橋

2015/05/02(土)(五十嵐太郎)

「毒毒毒毒毒毒毒毒毒」展(もうどく展)in みなとみらい

会期:2015/03/21~2015/05/17

マークイズみなとみらい 5F特設会場[神奈川県]

マークイズにて、「毒毒毒毒毒毒毒毒毒」展(もうどく展)を見る。毒性のある生物、昆虫、植物を紹介する企画だ。派手な色彩で華やかな造形と、強烈な毒という組み合わせが凄まじい。驚くべき生物が存在することを思い知らされる。例えば、岩に擬態し、じっと動かず、補食の機会をうかがう魚は、水槽を凝視しても、やはり岩に見える。また実は毒をもっていないのに、毒性のある別の魚に擬態することによって、身を守る魚もいた。

2015/05/02(土)(五十嵐太郎)

寄生獣 完結編

映画『寄生獣 完結編』は、前編よりもよかった。人間に巣くう侵略者の説明がすでに終わっており、ひるがえって、人間とは何かを問う内容が多いからだろう。人間の方が地球にとっての「寄生獣」という認識さえ示される。そして、後編の主役になっていた深津絵里の怪演! が印象深い(特に赤ん坊をあやす、彼女の笑い)。ところで、コンクリート打放しの現代建築が、非人間たちの根城になっている。やはり、こういう空間は感情がない、冷たいイメージがあるということなのだろう。

2015/05/01(金)(五十嵐太郎)

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を見る。最初から最後まで、ワンカットのように延々と続くカメラワークは、初日を控えた閉鎖的な舞台の空気感をかもし出す。一方、まさかの超現実的なSF風の描写は、マイケル・キートンの内面世界を表現し、ドラムのみの演奏によるバックグラウンド・ミュージックは緊張感を高める。それにしても、娘役エマ・ストーンの目力がすごい作品だ。

2015/05/01(金)(五十嵐太郎)

若林奮 飛葉と振動

名古屋市美術館[愛知県]

若林奮は、一般的に鉄の彫刻家で知られるが、ランドスケープ的な作品も紹介されており、興味深い内容である。神慈秀明会の神苑は、取材で内部も訪れたことはあったが、流政之の彫刻、ミノル・ヤマサキ、I.M.ペイの建築しか見ておらず、若林の作庭もチェックしておけばよかった。近くのケンジタキギャラリー(会期:2015/04/11~2015/05/23)でも、タイミングを合わせて、若林の小さなドローイングなどを紹介している。

2015/04/30(木)(五十嵐太郎)