artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
田中信太郎 岡崎乾二郎 中原浩大「かたちの発語展」
会期:2014/04/25~2014/06/22
BankART Studio NYK[神奈川県]
BankART Studio NYKの「かたちの発語展」を訪れる。田中信太郎、岡崎乾二郎、中原浩大のかたちへの思索をめぐる作品を紹介するものだ。世代やアプローチの違う作家を組み合わせるキュレーションが興味深い。カタログも、三人それぞれに濃い内容だ。形態の模索ゆえに、建築やデザインなど、異ジャンルへの補助線も引ける。例えば、田中と倉俣史朗。あるいは、漢字と建築をテーマにしたヴェネツィア・ビエンナーレ建築展の日本館における岡崎の作品。
2014/06/08(日)(五十嵐太郎)
映画をめぐる美術──マルセル・ブロータースから始める
会期:2014/04/22~2014/06/01
東京国立近代美術館 企画展ギャラリー[東京都]
国立近代美術館の「映画をめぐる美術──マルセル・ブロータースから始める」展を見る。以前、同館で開催された「ヴィデオを待ちながら」展が、1960年代から新しい表現手段として登場したヴィデオ・アートの基本的な作品を一同に集めた入門編だとすれば、今回はマルセル・ブロータースの試みを共通の入り口にして、6つのテーマにもとづき、個別の部屋に誘い、他の作家を紹介するというハイブロウな内容だった。アメリカの銀行強盗事件を再現するピエール・ユイグや、音声が失われた母の過去の映像を調査するアンリ・サラの作品が興味深い。同館の展示によく関わる、建築家の西澤徹夫による会場構成も秀逸である。
2014/06/01(日)(五十嵐太郎)
乾久美子+東京藝術大学乾久美子研究室──小さな風景からの学び
会期:2014/04/18~2014/06/21
TOTOギャラリー・間[東京都]
ギャラリー間の乾久美子+東京藝大乾研究室展「小さな風景からの学び」へ。およそ1年かけて学生たちと撮影した膨大な数の街の写真を分類しながら、ささやかな風景への思考を積み重ねていく。いわゆる有名建築の紹介でもなく、彼女の個展でもない。ギャラリー間としては、これまでにないタイプの展覧会だ。ちょうど、せんだいスクールオブデザインのメディア軸でやろうとしている新しい建築系ガイドのイメージにも近い。
2014/05/31(土)(五十嵐太郎)
TAKEO PAPER SHOW 2014「SUBTLE」
会期:2014/05/25~2014/06/01
TOLOT/heuristic SHINONOME(トロット/ヒューリスティック東雲)[東京都]
竹尾のペーパーショウ2014を訪れた。テーマが「SUBTLE」だけに、石上純也と中村竜治の、テーブル上の小さな敷地において、紙という物質から可能な建築的なアイデアを追求した両作品が狂気じみてすさまじい。デザイナーやアーティストとは違う、建築家ならではのアプローチである。ほかに三澤遥の紙の花や、トラフのひとつながりの糸もセンスが良かった。ところで、会場の入口に設置されたガラスのインスタレーションが、ゲルハルト・リヒターぽいものだった。しかし、どこにもキャプションはなく、来場者もほとんどそれに気をとめず、お目当ての紙の展示へとまっすぐ向かう。が、警備員と話したら、やはりリヒターだった。この会場で一番高いものではないか。
2014/05/31(土)(五十嵐太郎)
東京ミッドタウン・デザインハブ特別展「窓学”WINDOWSCAPE”展 ~窓の研究プロセスからミラノサローネまで~」
会期:2014/05/31~2014/06/15
東京ミッドタウン・デザインハブ[東京都]
東京ミッドタウンのデザインハブ特別展「窓学“WINDOWSCAPE”展~窓の研究プロセスからミラノサローネまで~」のオープニングだった。展示では、東工大の塚本研が、世界各地の窓を実測した資料に、現地での旅の楽しさを伝えるコンテンツをおりまぜ、加えて今年のミラノサローネにおいて中庭に挿入した窓のカレイドスコープのインスタレーションを紹介する。また2007年から始めた窓学についてのトークも行なう。
2014/05/30(金)(五十嵐太郎)